写真=Reve AI。ビットコインが6万3000ドル台で推移するなか、14日公表の米CPIに市場の関心が集まっている。

ビットコインは、米雇用指標の減速とドル安を背景に6万3500ドル台を回復した。もっとも、ここからの上値を左右する材料として市場が注視しているのは原油ではなくガソリン価格だ。次の焦点は14日に公表される6月の米消費者物価指数(CPI)となる。

CryptoSlateによると、市場では6月CPIを次の重要イベントと位置付ける見方が広がっている。

米労働統計局(BLS)が公表した6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は5万7000人増にとどまり、失業率は4.2%に上昇、労働参加率は61.5%に低下した。同じ週にはドル指数(DXY)が0.56%下落して100.83となり、9月の追加利上げ観測も67%から54%へ低下した。

市場参加者の間では、雇用の減速がFRBの追加引き締め余地を狭め、ドル安を通じて金やビットコインのような資産の支えになったとの受け止めが出ている。実際、金は統計公表後に2週間ぶりの高値を付けたが、その後ドルが持ち直すと上げ幅を一部縮小した。ビットコインは6万ドル台を維持している。

ただ、この反発がそのまま上昇トレンドに定着したとみるには早いとの指摘もある。21Sharesのマクロ経済責任者スティーブン・コルトマン氏は、FRBが現行の政策金利水準でインフレ率を2%へ戻せると判断して初めて、足元の動きに持続性が出ると述べた。追加利上げなしでも物価を抑え込めるほど、現在の政策が十分に引き締め的だとFRBが認識する必要があるという。

焦点は、イランを巡る戦争に伴う原油ショックが実際の物価にどの程度残るかに移っている。欧州中央銀行(ECB)のフィリップ・レーン専務理事兼チーフエコノミストは、米国とイランの合意を受けて原油価格がECBの想定シナリオに近づき、原油急落によって追加利上げを急ぐ必要性は後退したと述べた。一方でECB当局者は、エネルギーショックの影響はなお経済全体から完全には消えていないと警告している。

原油価格だけをみれば、緊張は大きく和らいでいる。ブレント原油は1バレル72.19ドル、米WTIは68.81ドルで推移し、いずれも戦争前の水準に近づいた。ホルムズ海峡経由の輸出再開に加え、サウジアラビアによる公式販売価格の引き下げや、OPECプラスの生産目標引き上げが織り込まれたためだ。

一方、消費者が実際に感じる物価上昇圧力は、原油よりもガソリンに強く残っている。過去1年を基準にした比較では、同期間にガソリン先物が約40%上昇したのに対し、原油は戦争前の水準近辺まで戻った。BLSの5月CPIでも、ガソリン価格は前月比7%上昇し、前年同月比では40.5%上がった。

この乖離はFRBの政策判断にも影響し得る。ガソリン価格は、家計のインフレ実感に直結しやすい項目の1つだからだ。ニューヨーク連邦準備銀行のグローバル供給網圧力指数も、6月の1.81から1.25へ低下したものの、イランを巡る戦争前の水準はなお上回っている。

エネルギー需給もなお完全には安定していない。米エネルギー情報局(EIA)によると、製油所の稼働率は96.6%、ガソリン生産は日量1000万バレルだった。ガソリン在庫は230万バレル減少し、直近5年の季節平均を7%下回った。原油が落ち着いても、ガソリン在庫の回復が遅れれば、CPIへの押し上げ圧力は残る可能性がある。

金融政策を巡る当局者の発信もなお割れている。ケビン・ウォッシュFRB議長は6月17日、政策金利を3.50〜3.75%に据え置いたうえで、物価はなおFRBの2%目標を大きく上回っており、勝利宣言をする段階ではないと述べた。一方、サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は、政策は「いくぶん抑制的な水準」にとどまっており、次の一手はまだ決まっていないとした。

ビットコインの上値を抑える要因としては、機関投資家資金の動向も挙がる。Citiは12カ月目標を11万2000ドルから8万2000ドルへ引き下げ、今年の上場投資信託(ETF)への資金流入見通しも100億ドルからゼロへ修正した。今年に入ってETFからすでに33億ドルが流出していることを反映したものだ。景気減速と資金流出が続く場合の弱気シナリオとしては、5万3000ドルを示した。

市場の視線は14日公表の6月CPIに集まっている。ガソリン価格の上昇が5月でピークアウトしたのか、それとも長期化の入り口にあるのかを見極める最初の材料になるためだ。ガソリン由来の物価上昇圧力が和らぎ、ドル安が続き、FRBが現行政策は十分に抑制的だと示唆すれば、ビットコインは7万ドルを再び試す可能性がある。逆に、ガソリン高を背景にCPIが強い内容となれば、追加利上げ観測の再燃やドル高、ETF流出が重なり、上値余地は限られそうだ。

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