Samsung Electronicsの決算発表を受け、米株式市場ではAIハードウエア関連株が急落し、資金の一部が大型テック株へ移った。CNBCによると、ジム・クレーマー氏は7日(現地時間)の相場について、AI相場の主役が入れ替わる可能性があるとの見方を示した。
発端となったのはSamsung Electronicsの決算発表だ。同社株は発表後に7%下落した。クレーマー氏は、決算は好内容だったものの市場の期待には届かなかったとの見方を示し、とりわけメモリー半導体需要に対する懸念が意識され始めたと指摘した。
投資家はこれを個社要因にとどめず、AIインフラ全体への警戒シグナルと受け止めたという。データセンター投資関連株が軟調となり、Samsung Electronicsとメモリー市場で競合するMicronも4.7%下落した。
一方で、売られた資金の向かう先も鮮明だった。市場全体のテック株が一様に売られたわけではなく、Amazon、Alphabet、Meta、Apple、NVIDIAといった大型テックには買いが戻った。Salesforce、Adobe、ServiceNowなど、エンタープライズ向けソフトウエア株にも資金流入が見られた。
クレーマー氏は、この日の相場は過去のウォール街でよく見られた物色動向を思い起こさせたと語った。NVIDIAのチップが演算の中核として注目される一方、GoogleやMeta、Amazonが相場をけん引していた局面に似ているとの見立てだ。Appleについても、汎用半導体の価格変動の影響を比較的受けにくい銘柄として挙げた。
こうした動きの背景には、AIサプライチェーン関連株への投資に対する疲労感もある。クレーマー氏は、市場がAIサプライチェーン関連に資金を偏らせ過ぎていたと見直し始めた可能性があると指摘した。その一方で、データセンター投資を進める企業群はここ数カ月、株価低迷が続いており、相対的な割安感が意識され始めているという。
実際、同氏はAmazon、Alphabet、Metaについて、今年の大半で厳しい局面が続いたと述べた。AI恩恵株に注目が集まるなか、大規模なAI投資を進めるビッグテック本体は相対的に見過ごされてきたとの認識がにじむ。
もっとも、クレーマー氏は1日の値動きだけで相場転換を断定することは避けた。「きょうがより大きな動きの初日かもしれないし、そうでないかもしれない」としたうえで、「ただ、確かに変化の兆しは感じられた」と語った。短期間で市場の主役が急速に入れ替わった点は明確だったとの見方だ。
今回の値動きは、AI投資の焦点が半導体やデータセンター設備から、実際にAIサービスを展開し投資を実行する大型プラットフォーム企業やソフトウエア企業へ移るのかを見極める材料となった。市場では今後、メモリー需要への懸念が一時的な反応にとどまるのか、それともAIサプライチェーン全体のバリュエーション見直しに広がるのかが注目されそうだ。