ビットコインが今回の下落局面ですでに底打ちしたのか。それとも、なお下値余地が残るのか。市場では見方が分かれている。ETFや企業需要を背景に底打ち済みとみる強気派がいる一方、マクロ環境や流動性動向を踏まえ、追加調整を警戒する慎重論も根強い。
Cointelegraphによると、7日現在のビットコイン価格は6万3500ドル前後で推移している。2025年10月に付けた12万6000ドル超の高値からは約50%下落した水準だ。
焦点は、この下落がすでに収束に向かっているのか、それとももう一段の調整を経るのかにある。強気派は、ビットコイン現物ETFへの資金流入や企業需要、長期資金フローの改善を背景に、先月の時点で底を打った可能性があるとみている。
これに対し慎重派は、弱気相場の終盤に差しかかっている可能性は認めつつも、底打ちを確認するにはなお早いとの立場だ。
ヒルバート・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、ラッセル・トンプソン氏は、ビットコインは依然として下落サイクルの中にあるとみる。直近安値をさらに下回った後で、本格的な底が形成される可能性が高いとの見方を示した。
同氏は、市場が暗号資産特有の指標よりも、マクロ経済や流動性環境の影響を強く受ける構造に変わってきたと指摘する。
その上で、ビットコインはまず5万6000〜5万2000ドルを再び試し、状況次第では4万〜4万5000ドル台まで下落する可能性があるとした。底打ちの時期については2026年10月前後に言及しつつ、米連邦準備制度(Fed)の利下げやクラリティ法案の可決が実現すれば、時期が前倒しになる可能性もあると付け加えた。
トンプソン氏は、ビットコインについて、独立した暗号資産というより「高ベータのマクロ資産」のように値動きしていると評価した。
伝統的な金融市場との連動性が強まっているとの見方は、他の機関でも出ている。Citibankは今月初め、ビットコインの12カ月目標価格を11万2000ドルから8万2000ドルへ引き下げた。リスク資産やマクロ流動性への感応度が高まり、ボラティリティの低下よりも相関の強まりが目立っていることを理由に挙げた。
一方、Bitwiseの欧州リサーチ責任者、アンドレ・ドラゴシュ氏は、より前向きながらも慎重な見方を示した。現局面を「弱気相場の後半」と位置付け、複数の指標が下落圧力の一巡を示しているとした。
市場心理が2022年のFTX破綻直後の水準まで悪化したことも、売りが相当程度出尽くしたシグナルだと分析した。
ただ、同氏も底打ちの断定には慎重だ。「最終的な底はまだ見ていないと思う。ただ、かなり近づいている可能性は高い」と述べた。
また、単一の指標でサイクルの底を高い信頼性で見極めるのは難しいとも指摘した。ETFや機関投資家の参加拡大によって、相対価値を意識した売買が増え、過去には機能していた一部のサイクル指標の説明力が弱まっているためだ。
Bitunix取引所のアナリスト、ディーン・チェン氏は、今回の下落を別の角度から捉える。ビットコインはなお調整局面にあるものの、暗号資産市場の内部要因より、グローバル流動性の争奪の中で価格が決まりやすくなっているという。
同氏は、現物ETF承認後に形成された構造的な資金基盤がバリュエーションを支える一方、余剰資金はAIや株式市場など他の投資テーマとも競合していると説明した。
チェン氏は「より大きな課題はビットコイン自体ではなく、グローバルな流動性競争だ」とし、資金がAIインフラや株式、高成長資産へ流れ続けていると述べた。さらに「ビットコインがいつ底を打つかという問い自体が誤っている可能性がある」とした上で、「暗号資産が再び世界のリスクマネーにとって最も魅力的な投資先になる時期のほうが重要だ」と語った。
こうした見方は、デリバティブ市場の影響力拡大とも重なる。チェン氏は、前回サイクルに比べて、資金調達率と建玉が短期的な価格変動に与える影響が大きくなっているとみている。
その結果、過去のような急反発を伴うV字回復型の底打ちではなく、より長い時間をかけて構造的に下値を固める展開になる可能性があるとした。
Galaxy Researchも6月の分析で、伝統的なサイクルシグナルはまだ完全にはリセットされていないと指摘した。基本シナリオとして、流動性とマクロ環境次第では4万〜4万6000ドルまで追加下落する可能性を示している。
市場の論点は、ビットコインの底がどこにあるのかという水準論だけではなく、「底打ち」をどう定義するかへ移りつつある。ETF、機関資金、マクロ流動性が価格形成の構造を変え、従来の4年周期分析だけでは足元の相場を説明しにくくなっているためだ。
短期的な値動き以上に、流動性の向きと機関資金の配分変化が、今後のビットコイン相場を左右する主要変数として注目されそうだ。