AIチップ競争が激しさを増している。写真=Shutterstock

AIモデル開発企業の間で、自社AIチップの確保に動く流れが広がっている。これまではGoogleやAmazon Web Services(AWS)、ByteDance、Alibabaなど米中の大手テック企業が主導してきたが、足元では有力AIモデル企業も相次いで開発に乗り出している。

狙いは、NVIDIAやHuaweiなど外部ベンダーへの依存を抑え、調達の安定化とコスト削減につなげることだ。とりわけ推論需要の拡大を受け、学習用GPUとは別に、推論に特化した独自チップの開発に関心が集まっている。

OpenAIはBroadcomと組み、AI推論サーバ向けチップ「Jalapeno」を共同開発した。NVIDIA製チップへの依存を減らし、自社ハードウェア基盤を確保する戦略の一環とみられる。

OpenAIは年末にも、Jalapenoを搭載した初のサーバを稼働させる計画という。その後、チップの適用範囲を広げる方針だ。Jalapenoは、学習と推論の双方に対応するNVIDIAの主力GPUと異なり、推論専用に設計された。OpenAIによると、初期テストでは現行の先端製品を電力効率で大きく上回ったとしている。

同社はJalapenoとBroadcom製ネットワーク機器を組み込んだカスタムサーバラックの開発も進めている。このプロジェクトでは、トロントを拠点とするデータセンター機器設計サービス企業Celesticaと協業している。

Anthropicにも、自社チップ開発を模索する動きが出ている。The Informationは7月初め、関係者の話として、Anthropicが自社AIチップ開発の初期作業に入り、Samsung Electronicsとの製造面での提携も協議していると報じた。

報道によると、Anthropicはチップに担わせる機能や目標性能、サーバやサーバークラスターへの実装方法などを検討している。複数のチップ設計企業と協議したものの、詳細設計やテスト、製造の段階にはまだ進んでいないという。

同様の動きは中国のAIスタートアップにも広がっている。中国のAI企業DeepSeekは、推論用AIチップの自社開発に着手したと報じられている。

ロイター通信によると、DeepSeekが検討しているのは、学習済みモデルの実運用を担う推論用チップだ。HuaweiやNVIDIAといった外部供給先への依存を下げる戦略の一環とされる。すでに製造パートナーと協議を進めており、開発を支えるエンジニアの採用も始めたという。

オープンソースAIモデル「GLM-5.2」で存在感を高めるZ.aiも、自社AIチップの設計を検討している。需要の急増に加え、米国の輸出規制によって計算資源の確保が難しくなっていることが背景にある。

The Informationによると、Z.aiは最近、中国の複数のチップ設計企業に対し、自社モデルに最適化したカスタムAIプロセッサの開発可能性を打診した。協議は初期段階にあり、設計パートナーはまだ決まっていないという。

Z.aiはこれまで、Huawei製チップのほか、他の中国製チップや一部のNVIDIA製チップを併用してきた。1月には、Huawei製チップのみで学習させた画像生成モデルを公開した。中国製チップだけで学習した初の主要画像モデルだとしている。

もっとも、Huawei製チップにも供給面の制約があるとされる。The Informationによれば、米国の輸出規制の影響で、中国の半導体ファウンドリーはHuawei向けチップの生産に必要な先端装置の確保に引き続き苦戦している。

また、米商務省はZ.aiを、技術調達を禁じる対象リストに掲載した。ただ、The Informationは、同社がAIチップ開発を本格化させた場合、中国国内のファウンドリーで生産する可能性が高いと報じている。

一方で、この指定によって米企業がZ.aiのモデルを利用できなくなるわけではない。Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOは最近、コスト削減の一環として、XでGLM-5.2を試験利用していると明らかにした。GLM-5.2はOracle Cloudでも利用できる。

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