Coinbaseのポール・グレウォル最高法務責任者(CLO)は6日(現地時間)、米議会で審議が進むCLARITY法案について、遅くとも今夏までに成立するとの見通しを示した。あわせて、ステーブルコインの報酬規定を巡る妥協案を支持し、銀行業界にも受け入れを促した。
暗号資産メディアのThe Blockによると、グレウォル氏は「Consensus 2026」のインタビューで、ティリス・アルスブルックス氏の妥協案について、Coinbaseのステーブルコイン事業と、より広範な金融市場の双方に必要な中核条件を守る現実的な折衷案だと評価した。
焦点となっているのは、ステーブルコインの報酬設計だ。妥協案では、プラットフォーム利用に伴う活動ベースの報酬は認める一方、単純な保有残高に応じて支払う報酬は制限する。
これまで銀行業界は、残高連動型の報酬が預金流出を招くおそれがあるとして反対してきた。これに対しグレウォル氏は、これまでの会合や対話を通じても、銀行側から懸念を裏付ける具体的な根拠は示されなかったと反論し、「その証拠は全くない」と述べた。
Coinbaseは1月に公表された当初案には反対していた。ブライアン・アームストロングCEOらは当時、銀行ロビーの意向が法案に強く反映されたと批判していたが、その後の交渉や規制当局との協議を経て、立場を転換した。
4月初めには、アームストロング氏が修正法案への支持を公に表明した。グレウォル氏は、同社の基準は当初から一貫していたと説明し、譲れない一線はステーブルコインの報酬機能を守ることにあり、今回の妥協案はその条件を満たしていると述べた。
そのうえで、妥協案を退ければ銀行業界にとっても不利になりかねないと指摘した。「勝利を目前にして敗北を招くべきではない。答えが『イエス』なら受け入れて前に進むべきだ」と語った。
連邦レベルのステーブルコイン規制の枠組みであるGENIUS法案の下では、非発行体であっても目的を問わず報酬を提供できるとし、今回の妥協案の方が業界全体にとって望ましい選択肢だと主張した。
CLARITY法案の処理時期については、「遅くとも今夏には成立すると確信している」と述べた。上院で遅れていた審議も、今回の妥協案をきっかけに前進する可能性があるとの見方を示した形だ。
インタビューでは、予測市場を巡る規制問題にも言及した。議会はイベント契約の専属管轄を商品先物取引委員会(CFTC)に与えている一方で、一部の州政府は従来の賭博規制権限が優先されると解釈しており、連邦と州の管轄争いが広がっていると指摘した。
この問題は最終的に連邦最高裁の判断に持ち込まれる可能性があるとの見方も示した。
予測市場の信頼性については、2024年の米大統領選を例に挙げた。一部の世論調査がカマラ・ハリス氏の勝利を見込む一方、予測市場ではドナルド・トランプ氏の勝利確率がより高く織り込まれていたと説明し、「結果がそれを裏付けた」と述べた。
また、CFTCの規制対象となるイベント契約は、従来のスポーツベッティングに内在するハウスアドバンテージ(胴元優位)を取り除けるとの認識も示した。利用者基盤が拡大するほど、既存の賭博サービスに対して構造的な優位性を持ち得るとした。
暗号資産規制全般については、政治的な対立よりも競争力の問題だと強調した。暗号資産が世界市場で公正に競争する機会を持つべきだとしたうえで、中国との競争を意識する米国の政策環境を踏まえれば、最終的には適切な規制の着地点にたどり着くとの考えを示した。
さらに、ポール・アトキンス米証券取引委員会(SEC)委員長とマイク・セリックCFTC委員長について、暗号資産の活用余地を理解していると評価した。両機関のトップは、立ち遅れた米金融システムの現代化に暗号資産を活用する考えだと付け加えた。