Teslaが、車内の一部にたまった熱気を重点的に吸い出し、冷房効率を高める空調技術の特許を公開した。電気自動車では空調負荷が航続距離に直結するだけに、電池容量を増やさずに走行効率の改善につながる可能性がある。
電気自動車専門メディアのInsideEVsが5日(現地時間)に報じた。今回公開された特許は、冷房に伴う電力消費を抑え、航続距離の目減りを減らすことを狙ったものだ。
中核となるのは、既存の暖房・換気・空調(HVAC)システムに吸引機能を組み合わせる仕組みだ。車内の特定箇所に局所的な負圧を生み出し、熱い空気を吸い込んで空調システムに送り、ほかの車内空気と合わせて温度調整したうえで再循環させる。
Teslaは、車内全体を一律に冷やすのではなく、冷却が必要なエリアを優先的に処理できるとしている。
想定する代表例は、日射による局所的な温度上昇だ。ガラスルーフや窓から入った熱が、腕や脚の周辺、頭上空間などに集中すると、車内の平均温度がそれほど高くなくても、乗員は強い暑さを感じることがある。
特にModel Xのように、室内空間が広くガラス面積も大きい車両では、冷房負荷が増えやすいという。
特許では目標を「熱的快適性の最大化とエネルギー消費の最小化」と明記した。熱が集中した部分の空気を優先的に吸い込み、車内の温度むらを抑えられれば、同等の冷房効果をより少ない電力で実現できるという考え方だ。
特許資料によると、外気温約40度の条件では、空調の消費電力を最大7.4%削減できる。削減幅は約127ワットで、空調装置の最大消費電力は1720ワットから1593ワットに低下するという。
電気自動車では、冷房に使う電力がそのまま航続距離の低下につながる。このため、削減率は一見小さく見えても、実用面では無視できない改善効果を持つとみられる。
Teslaはまた、吸引機能を常時作動させるのではなく、車内温度を検知して必要なエリアでのみ条件付きで有効化する案も示した。特許には「冷却が必要な領域でのみ有効化され得る」と記されており、センサーと空調制御を連動させることで、不要な電力消費を抑える考えだ。
夏場の冷房負荷が電気自動車の効率に及ぼす影響は、すでに指摘されている。Recurrentの調査では、外気温約38度の条件でエアコンを使用すると、航続距離が最大18%低下する可能性があるという。
今回の技術が量産車に採用されれば、電池容量の拡大や駆動系の改良を伴わずに、冷房による航続距離の損失を補う手段になり得る。ただ、現時点では特許公開の段階にとどまっており、実際に市販車へ採用されるかどうかは未定だ。