暗号資産市場ではこの1週間、米国の規制整備を巡る思惑が相場の焦点となった。米上院で審議中のデジタル資産包括規制法案「CLARITY法」を巡り、最大の争点だったステーブルコインの利払い問題で折衷案が示され、法案成立への期待が再び強まった。これを受け、ビットコインは8万ドル台を回復し、主要アルトコインにも反発期待が広がった。市場全体が弱含む中でも、Dogecoinは11%上昇した。
週内で最も注目を集めたのは、CLARITY法の行方だった。ステーブルコイン保有者への利払いを認めるかどうかを巡っては、銀行業界と暗号資産業界が対立していたが、折衷案の浮上で争点に一定の整理がつき、上院審議の進展期待が高まった。
折衷案は、ステーブルコイン発行体が一定条件の下で保有者に限定的な報酬を付与できるようにする一方、銀行業界の懸念に配慮した安全策も盛り込む内容とされる。Coinbaseはこの案を公に支持し、法案成立を後押しする姿勢を示した。報道を受け、Circleの株価は急伸し、市場の期待感を映した。
一方で、業界内の対立も表面化した。Cardano創設者のチャールズ・ホスキンソンは、CLARITY法を巡るRippleのブラッド・ガーリングハウスCEOの対応を公然と批判し、主要プレーヤー間の応酬が広がった。
もっとも、法案成立を楽観しない見方もなお根強い。一部の業界幹部は、CLARITY法が成立しなくても事業への影響は限定的だとして距離を置く姿勢を示した。オハイオ州の上院選結果も採決日程を左右する要因として意識されており、年内成立の見通しは依然として不透明だ。
ビットコインは4月に11.87%上昇し、年初来で最大の月間上昇率を記録した。ただ、5月に入ってからは上値の重い展開が続いている。米大手ハイテク企業の好決算を受けて短期的に買い戻されたものの、10万ドルの回復はなお大きな節目とみられている。
市場では、ビットコインのドミナンスが60%を超えたことを受け、アルトコインの底打ちを探る動きも出ている。一時は量子コンピューティングの脅威がビットコイン下落の要因との見方も浮上したが、専門家はこれを否定。下落の背景には、ハイテク株全般に広がるリスク回避姿勢があると分析した。
ビットコインのトレジャリー戦略を巡っては、アダム・バックが「合理的な裁定取引」として前向きに評価した。さらに、16年間動きのなかった7億ドル相当のビットコインを巡って、GPUを使った復旧の試みが話題を集めた。
アルトコイン市場では、ビットコイン優位の地合いが続く中でも反発余地を探る動きが続いた。Ethereumは1300〜2000ドルを長期の蓄積局面とみる見方が広がり、2030年に6万ドルを目指すとの強気シナリオも再び注目を集めた。
BitMineは1日で6万5000ETHを追加購入した。これにより保有量は計507万ETHを超えたとされ、機関投資家によるEthereum蓄積の流れを改めて意識させた。
今週、相場の強さが目立ったのはDogecoinだ。市場全体が軟調な中でも11%上昇し、逆行高となった。大口保有者の送金と保有動向にも増加が見られ、需給改善の兆しとして受け止められた。
ただし、年間50億枚に達する発行構造は、長期的な上値を抑える要因とみられている。新たなミームコイン4銘柄に投資家の関心が分散していることも、資金流入の持続性に影響するとの見方が出ている。Shiba Inuについては、2026年内に「ミリオネアコイン」となる可能性は低いとの分析が示され、年末に向けた見通しも限定的と評価された。
CoinbaseとGlassnodeは、暗号資産市場の反発時期を6月末と予測した。4月だけで暗号資産市場から半導体ETFに8兆ウォンが移ったとの分析もあり、短期的な資金フローの変化を示している。
XRPを巡っては、投資家心理を示す指標が2年ぶりの高水準を記録した。一方で、価格はその改善ほどには伸びず、強気心理と実際の値動きの間に乖離が残った。市場では、2025年7月の急騰前と似たシグナルが再現しているとの分析もあり、反発期待を支えている。
Rippleは今週、自社ステーブルコイン「RLUSD」を1億2000万ドル(約180億円)相当バーン(焼却)したと発表した。供給量を減らして価値向上を図る戦略の一環と受け止められており、RLUSDの市場信認を高める狙いがあるとの見方も出ている。BitMEXはXRPに関する重大発表を予告したが、具体的な内容は明らかにしておらず、市場の関心は来週に持ち越される見通しだ。
市場の波紋を広げた発言としては、イーロン・マスク氏の法廷証言も注目された。同氏は「暗号資産の大半は詐欺だ」と述べ、市場参加者の間に動揺を広げた。Dogecoin支持者として暗号資産市場への影響力が大きい人物だけに、反響は小さくなかった。
もっとも、この発言については、法廷での応酬という文脈上、意図的に強い表現を用いた可能性があるとの解釈も出ている。それでも個人投資家の不安心理を刺激したのは確かで、市場全体が弱い中でもDogecoinが上昇したことは、対照的な動きとして受け止められた。