画像はイメージ(画像=ChatGPT)

国民成長ファンド主導で、韓国のAIスタートアップUpstageに5600億ウォン(約616億円)が投じられる。政府は半導体に続き、AIモデルまで含めた供給網の国産化を本格化させる構えで、今回の投資を民間の追加投資を呼び込む呼び水にもしたい考えだ。

金融委員会は5月3日、4月30日に開いた国民成長ファンド基金運用審議会で、Upstageの「ソブリンAI確保のための次世代AIモデル開発」事業に対する5600億ウォン規模の直接投資を承認したと発表した。

内訳は、先端戦略産業基金が1000億ウォン(約110億円)、韓国産業銀行が300億ウォン(約33億円)、SK NetworksやSage Partners、Woori Venture Partners、Mirae Assetなど民間資金が4300億ウォン(約473億円)。国民成長ファンドが主導する投資ラウンドに、民間投資家が共同で参加する形となる。

Upstageは、企業や政府機関向けのAIソリューションと大規模言語モデル(LLM)を手掛けるスタートアップ。今回のラウンドでは、増資前企業価値は約1兆3000億ウォン(約1430億円)と評価された。

調達した資金は、B2B向けAIソリューションの高度化と、自社LLM「Sola」の性能向上に充てる。あわせて、ポータル「Daum」運営会社AXZの買収に向けたデューデリジェンスにも着手した。ニュースやカフェ、ブログなどにまたがる30年分のデータを確保し、韓国語特化モデルの競争力を引き上げる狙いがある。

Upstageのキム・ソンフン代表はソーシャルメディアで、「米国と中国が天文学的な資本を投じてAI覇権を争う時代に、韓国が独自の基盤モデルで技術主権を確立するという決断だ」とコメントした。その上で、「貴重な国民資金が投入される以上、グローバルに通用するAIモデルで必ず応えたい」と述べた。

今回の出資は、政府が進めるソブリンAI戦略の一環でもある。政府は国産LLMを開発するUpstageを育成し、チップ、モデル、サービスへとつながるAI供給網の国産化を進める方針だ。

国民成長ファンドはこれに先立ち、3月にはAI半導体ファブレスのRebellionsに対し、6400億ウォン(約704億円)規模の初回投資を主導している。

ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は、「今回の投資は、国内技術基盤によるソブリンAI確保戦略の本格始動を告げるものだ」と表明した。さらに「インフラとモデル、データとサービス、大企業とスタートアップ、公共と民間が有機的につながってこそ、国家のAI競争力は高まる」と述べた。

市場では、今回の投資が民間の追加出資につながるとの見方も出ている。Upstageは下半期のKOSPI上場を目指しており、企業価値は最大5兆ウォン(約5500億円)を目標に掲げる。

金融委員会の関係者は、「今回の投資決定が本格的な民間投資につながると期待している」とした上で、「Upstageが独自の基盤モデルの性能を高め、大規模データを確保する契機になる」と話した。

投資業界も前向きに受け止めている。今回の投資に参加したベンチャー投資会社の関係者は、「AIエコシステム全体にプラスの影響を与える案件だ」と評価。その上で、「注目しているAI企業はほかにもあり、共同出資による大型案件も業界内で議論されていると聞いている」と述べた。

Upstageは8月に「独パモ」の2次評価を控える。これについて科学技術情報通信部の関係者は、「国民成長ファンドの投資によって、『独パモ』の評価で加点要素になったり、有利に扱われたりすることは一切ない」と強調し、「金融面の判断と技術面の評価は別だ」と説明した。

AIモデル開発企業の関係者は、「科学技術情報通信部の評価基準そのものは信頼しているが、資本投入が開発競争力に直結するのは避けられない」と指摘した。さらに、「スタートアップの代表格として『独パモ』に参加したUpstageは、LLM開発への単独投資額でみれば大企業を上回る可能性がある」と話した。

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