サム・アルトマン OpenAI CEO。写真=Shutterstock

OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、足元のテクノロジー業界における人員削減の一部について、人工知能(AI)と直接の関係がないにもかかわらず、AIの影響として語られていると指摘した。その一方で、AIが雇用市場に及ぼす実質的な影響は、今後数年で現れてくるとの見方を示した。

ITメディアのTechRadarが5日(現地時間)に報じたところによると、アルトマン氏はCNBC-TV18のインタビューで、こうした動きを「AIウォッシング」だと批判した。

同氏は、相次ぐ解雇を一律にAIのせいとみなすべきではないと述べた。本来予定していた構造改革やコスト削減を、AIと結び付けて説明する企業があるとの認識を示し、「いずれ実施していたはずの削減をAIのせいにしているケースが多い」との趣旨の発言をした。

もっとも、AIが雇用に与える影響そのものを否定したわけではない。アルトマン氏は「今後数年のうちに、AIが仕事に与える実質的な影響を人々が感じ始めるだろう」と述べた。AI導入はなお初期段階にあり、企業や労働市場にどのような変化が生じるかには不確実性が残るものの、時間の経過とともに、AI時代に維持が難しくなる職務がより明確になっていく可能性があると説明した。

こうした発言の背景には、足元で続くテック業界の人員削減がある。2026年に入ってから同業界で解雇された人数は9万2000人を超えた。企業はその理由として、生産性向上や効率化、投資方針の見直しと並べる形で、AIへの対応を挙げるケースが目立っている。

ただ、AIを前面に出して解雇を説明することが、企業にとって都合よく働く可能性もある。将来技術に積極投資しているというシグナルを市場に示せるためだ。

アルトマン氏はまた、市場が人員削減や生産性の改善だけを見ているわけではないとも指摘した。投資家はさまざまなシグナルに反応しており、企業側には解雇をAI中心の戦略転換として装う誘因が生まれ得るという文脈だ。今後は、テック業界の人員削減がAIによる直接的な代替なのか、それとも従来から進めてきた構造改革にAIという説明を重ねているだけなのかを見極める視点が一段と重要になりそうだ。

一方で同氏は、長期的には新たな雇用も生まれると強調した。「私たちは新しい種類の仕事を見つけることになる」と述べ、AIが労働市場に負の影響だけをもたらすわけではないとの認識を示した。昨年にも、AIによって仕事のカテゴリー全体が消えるような厳しい局面が訪れる可能性に言及している。

さらに、世界が急速に豊かになることで、これまで現実味を帯びなかった新たな政策アイデアについても、真剣な議論が可能になるとの見方を示した。

今回の発言は、短期的には企業が人員削減の説明にAIを過度に持ち出している可能性を示す一方、中長期的にはAIが実際に一部の職務を代替し、雇用構造を変えていく可能性も改めて浮き彫りにした。今後は、企業がAIを単なるコスト削減の名目として使うのか、それとも業務再編や新たな職務の創出につなげるのかが焦点となる。

キーワード

#OpenAI #サム・アルトマン #人工知能 #雇用 #人員削減 #テクノロジー業界 #AIウォッシング
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.