Samsung Electronicsは5月7日、中央大学光明病院との共同臨床研究で、Galaxy Watchを用いて迷走神経性失神を早期に予測できる可能性を世界で初めて示したと発表した。研究成果は、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology)が発行する学術誌「European Heart Journal-Digital Health」の最新号に掲載された。
スマートウォッチを活用して失神の予測可能性を示したのは、今回が初めてだとしている。
迷走神経性失神(Vasovagal Syncope、VVS)は、過度の緊張やストレスなどで血圧が急低下し、一時的に意識を失う症状とされる。予期せぬ転倒により、骨折や脳出血などの二次被害につながるおそれがある。
生涯有病率は40%に達し、このうち3分の1は失神を繰り返し経験するとされる。
中央大学光明病院の循環器内科に所属するチョ・ジュンファン教授の研究チームは、迷走神経性失神が疑われる患者132人を対象に、Galaxy Watch6を装着した状態でヘッドアップ・ティルト試験(Head-Up Tilt Test)を実施した。
ヘッドアップ・ティルト試験は、失神や失神に近いめまいの原因が自律神経系にあるかどうかを、症状を再現しながら判定する検査だ。
研究では、Galaxy Watch6に搭載された光電式容積脈波(PPG)センサーで患者の心拍変動(HRV)データをリアルタイムに収集し、AIアルゴリズムで解析した。
その結果、失神発生の約5分前に、84.6%の精度で迷走神経性失神の兆候を予測できた。兆候を事前に捉えられれば、患者は安全な姿勢を取ったり周囲に助けを求めたりするための時間を確保できるという。
チョ・ジュンファン教授は「失神リスクをリアルタイムで検知できれば、前駆症状を感じにくい患者の事故防止に大きく役立つ」とコメントした。
Samsung ElectronicsのMX事業部デジタルヘルスチームで常務を務めるチェ・ジョンミン氏は、「今回の研究は、ウェアラブル技術によってヘルスケアを事後対応型から予防型へ転換できる可能性を示した」とした上で、「研究成果を基に、Galaxy Watchを通じた予防的ヘルスケアソリューションの提供に取り組む」と述べた。
Samsung Electronicsは今後も主要医療機関との連携を広げ、ウェアラブル機器のヘルスモニタリング機能の高度化と、デジタルヘルスのエコシステム拡大を進める方針だ。
同社によると、Galaxy Watchでは睡眠、運動、抗酸化、心血管などに関する健康インサイトを提供している。
また、発売したGalaxy Watch8には、スマートウォッチとして初めて抗酸化指数機能を搭載した。体内の抗酸化物質であるカロテノイド濃度を5秒で測定し、食習慣の改善を支援するとしている。