イーサリアム(ETH、写真=Shutterstock)

イーサリアムは直近3カ月、2400ドル台を回復しても定着できず、暗号資産市場全体に対する相対的な弱さが続いている。背景には、オンチェーン活動の鈍化、DApp(分散型アプリ)を巡る競争激化、機関投資家の投資妙味の後退があるとみられている。

Cointelegraphが7日付で報じたところによると、イーサリアムは2026年に入ってから21%下落した。暗号資産市場全体の下落率は同期間で11%にとどまり、市場平均を下回る推移となった。

市場では、イーサリアムの戻りが鈍い要因として、オンチェーン活動の減速がまず挙げられている。アルトコイン全体が市場回復の流れを一部取り込むなか、イーサリアムはその恩恵を十分に受けられていないとの見方もある。

実際、イーサリアムのエコシステムではDApp関連の指標が弱含んでいる。分散型取引所(DEX)の取引量は直近6カ月で53%減少し、これに伴ってイーサリアム上のDApp収益も同期間に49%減った。

背景には、ミームコイン価格の急落やトークン発行の鈍化による取引需要の縮小がある。加えて、プロトコルを狙ったハッキングも重荷となった。

4月の暗号資産業界におけるハッキング被害額は6億3000万ドルに上った。被害の82%はKelpDAOとDrift Protocolに集中した。

ブロックチェーンセキュリティ企業Hackenは、今回の攻撃の背後に北朝鮮と連携した勢力がいると指摘した。業界全体で見ても、DEX活動は直近3カ月で47%減少している。

競争環境の変化も、イーサリアムには逆風となっている。一部の競合チェーンは、ベースレイヤーそのものの処理能力を高めることで、一般ユーザーが感じる摩擦の低減を進めている。

イーサリアムは、レイヤー2を含むエコシステム全体では引き続き最大規模を維持している。一方、DApp収益ベースのシェアでは、SolanaとHyperliquidを合わせて42%を占めた。総預かり資産はイーサリアムの方が6倍大きいとされるだけに、収益創出力の差はより際立っている。

ネットワークのアップグレードを巡る誤解も懸念材料として浮上している。Alchemyのエンジニア、ウタム・シンは、市場の一部で、予定されている「グラムステダム」ハードフォークによってロールアップの立場が危うくなるとの誤解が広がっていると指摘した。

このアップグレードは、ベースレイヤーの処理能力を3倍に高め、ブロックデータの先取り収集や並列的な取引実行を可能にする方向で設計されているという。

ただ、ユーザーや投資家の間では、ベースレイヤーのスケーラビリティが高まるのであれば、なぜレイヤー2のロールアップが引き続き必要なのか分かりにくいとの見方がある。こうした変更が実際にネットワーク手数料の上昇につながるのか、あるいはより高いステーキング利回りをもたらすのかも見通しにくい。

機関投資家のセンチメントも、イーサリアムの追い風にはなっていない。上場企業で最も多くのイーサリアムを保有するBitmineの企業準備資産が、足元で含み損の状態にあるためだ。

トム・リー氏が率いるBitmineは、イーサリアムの購入に122億ドルを投じたが、保有資産の価値は108億ドル程度まで低下した。直ちに大規模な売りにつながる可能性は高くないものの、機関投資家の観点では投資魅力を損なう要因になっている。

イーサリアムが2800ドルに到達する可能性が完全に消えたわけではない。ただ、オンチェーン活動の減少、DApp競争の激化、機関投資家の投資妙味低下という3つの重荷が重なり、暗号資産市場全体に対する相対的な不振が続いている。

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