LG CNSは5月7日、ロボットの学習から現場投入、運用、統合管制までを一貫して支援するロボットトランスフォーメーション(RX)プラットフォーム「Physicalworks」を発表した。物流・製造分野での活用を想定し、ロボット導入期間の短縮と運用効率の向上を狙う。
同日、ソウル市麻谷のLGサイエンスパークで開いたRXメディアデーで、ヒョン・シンギュンLG CNS社長は「ロボットの学習から適用、運用までフルスタックの能力を統合し、Physical AIの商用化に向けた新たな標準をつくる」と述べた。あわせて、将来的にはロボットを中心とする自律運用体制の実現を目指す方針を示した。
Physicalworksは、ロボットのデータ収集、学習、検証、現場適用、運用、管制までをカバーするプラットフォームだ。LG CNSによると、国内企業がロボットの学習から運用までを含むエンドツーエンドのプラットフォームを自社ブランドとして打ち出すのは初めてという。
同社はSI企業として培ってきた物流・製造現場の知見を強みに据える。数百件に上る自動化案件の経験を踏まえ、ロボットそのもののハードウェアではなく、「ロボットを実際の現場で稼働させる仕組み」を事業の中核に位置付ける。
イ・ジュノ スマート物流シティ事業部専務は、「従来の自動化は決められた動作の反復が中心だったが、今後は状況を理解し、判断し、行動する能力が求められる」と説明した。その上で、「より速く、より質の高いデータを確保できるかが、ロボット事業の競争力を左右する」と述べた。
また、ロボットを「デジタル人材」と位置付け、作業計画や割り当て、リアルタイムの運用管理、成果管理、再学習までを統合的に運用する必要性が高まっているとの認識を示した。
Physicalworksは、学習に特化した「Forge」と、運用・管制を担う「Baton」で構成する。
Forgeは、ロボット学習用データの収集から検証、現場適用までを担う。3D仮想環境でシミュレーションデータを生成し、学習に活用することで、従来のように人が数千回にわたり動作を実演する方式から脱却したという。今後は、人の作業映像を学習データに変換する方式や、モーションキャプチャの活用にも対応する計画だ。
データ選別の工程も自動化した。AIがロボット学習に有効なデータを自動で選別し、整理・加工する。学習を終えたロボットは、3D仮想環境でのシミュレーション検証を経て現場に投入される。
LG CNSは、現場投入までの期間を従来の数カ月から1~2カ月へ短縮できるとしている。現在は、電子、化学, 物流、造船などの分野で20社以上の顧客とロボットの概念実証(PoC)を進めている。
パク・サンヨプ最高技術責任者(CTO)は、「踊るロボットを、実際に現場で働くロボットにするには、120以上の技術、50人以上の専門家、1万時間以上が必要だ」とした上で、「Physicalworksなら、それを最短かつ最小コストで解決できる」と述べた。
Batonは、二足歩行、四足歩行、ホイール型など、形状やメーカーが異なるロボットを単一基盤で統合管制する。ロボットごとに異なる制御方式や運用画面といった課題を、標準化と体系化によって解消したとしている。
突発事象への対応も自動化する。例えば、コンベヤーベルトが停止した場合には物流動線を自動で再構成し、特定のロボットが停止した際には、該当作業を別のロボットへ即時に切り替える。
LG CNSによると、自律走行搬送ロボット(AMR)と無人搬送車(AGV)を100台規模で運用する環境を想定した場合、生産性は15%以上向上し、運用コストは最大18%削減できるという。Batonは現在、釜山スマートシティ国家試験都市事業で、巡回、バリスタ、荷物運搬、清掃の4種類のロボットの統合管制に適用している。
異種4種ロボットの自律協調も披露した。二足歩行、四足歩行、ホイール型、AMRの4種類のロボットが、人による遠隔操作なしに物流現場で自律的に連携して作業する様子を公開した。Forgeで学習したロボットが、Batonを基盤に役割分担しながら動作した。
LG CNSは、異なる種類のロボットが遠隔操作なしで自律協調する様子を国内で公開デモしたのは初めてだと強調した。
ソン・ドンシン フューチャーロボティクスラボ委員は、「多くの企業は遠隔操作(テレオペレーション)でロボットの動きを見せているが、今回はロボットファウンデーションモデル(RFM)の学習によって、ロボットが100%自律的に判断して稼働する場面を示した」と述べた。
LG CNSは、これを完全自動化工場(ダークファクトリー)を超える「ダイナミックファクトリー」と位置付ける。ソフトウェアのアップグレードだけで、生産ラインをリアルタイムに切り替えられる工場の概念だ。
パクCTOは、「固定された生産ラインによる少品種大量生産だけでなく、多品種少量生産にも時間の遅れなく対応できるようになる」と説明。「数百台、数千台のロボットが1つの知能で動く、ロボット群知能の時代が到来する」と述べた。