DoorDashやMetaがステーブルコインを使った決済の実証実験に乗り出すなか、関連市場が2030年に4兆ドル規模へ拡大する可能性があるとの見方が出ている。Bitwiseの最高投資責任者(CIO)、マット・ホーガン氏が示した。
ブロックチェーンメディアのThe Block Cryptoが6日(現地時間)に報じたところによると、ホーガン氏は、Big Techによる決済分野での試行が、現在約3000億ドル規模のステーブルコイン供給を数兆ドル規模へ押し上げる契機になり得ると指摘した。
背景には、実際の事業会社による導入実験の広がりがある。DoorDashはStripeと連携し、40カ国超で活動する1000万人の配達員に対し、ステーブルコインで報酬を支払う仕組みを試している。
Metaも、フィリピンとコロンビアのクリエイター向けに同様のプログラムを導入した。支払いにはSolanaとPolygonのブロックチェーンを活用している。ホーガン氏は、こうした取り組みが、世界で約2億人規模とされるクリエイターエコノミーにつながる可能性があるとみている。
もっとも、足元の実証規模自体はまだ大きくない。ホーガン氏も、現時点では金額ベースで限定的だとして、過大評価すべきではないとの認識を示した。
一方で、こうした事例によって、ステーブルコインが数兆ドル規模の資産クラスに成長するとの確信は一段と強まったとしている。
同氏が重視するのは、単なるコスト削減ではなく決済構造の簡素化だ。ステーブルコインを使えば、銀行送金では数十ドルかかる場面でも、数セント程度で決済できるという。
ただ、DoorDashやMetaがより大きな利点として見ているのは、その「シンプルさ」だと説明する。グローバル企業が数百万件規模の少額支払いを処理する場合でも、ウォレットアドレスだけで送金でき、銀行インフラや為替交換の手続きを別途挟む必要がないためだ。
ホーガン氏は、こうした構造的な利点は特定企業に限られないとも指摘した。配達員やフリーランスなど、プラットフォーム型の労働者を抱えるグローバルテック企業は、DoorDashやMetaに続く可能性があるとの見方を示した。
その結果、数百万人規模のユーザーが暗号資産圏に取り込まれる可能性もあると付け加えた。
市場規模はすでに拡大している。ドル連動型ステーブルコインの供給量は3020億ドルを超えた。
内訳は、TetherのUSDTが約1895億ドル、CircleのUSDCが約790億ドルを占める。Big Techによる決済実証が本格導入に進めば、既存の発行規模の拡大を直接後押しする可能性がある。
既存の決済事業者もインフラ整備を急いでいる。Western UnionはSolana上で独自ステーブルコイン「USDPT」を投入し、200カ国超のネットワークで24時間決済への対応を始めた。
Visaも、ステーブルコイン決済の実証で年換算の処理額が70億ドルに達したと公表した。対応するブロックチェーンは9、カードプログラムは130超に拡大し、対応国・地域は50を超えたという。
一連の動きは、ステーブルコインが取引所内の資産にとどまらず、グローバルな決済インフラとして機能できるかを試す動きとして注目される。とりわけDoorDashとMetaの事例は、用途が投資や送金手数料の削減にとどまらず、大規模プラットフォームにおける少額決済の効率化へ広がっていることを示している。
今後は、こうした実証が常時提供のサービスへ移行するか、さらに多くのプラットフォーム企業が決済基盤にステーブルコインを組み込むかが焦点となる。