Kakaoは5月7日、2026年1〜3月期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比11%増の1兆9421億ウォン、営業利益は66%増の2114億ウォンで、ともに1〜3月期として過去最高を更新した。プラットフォーム事業の成長が業績を押し上げた。チョン・シナ代表は、これを踏まえ、KakaoTalkをエージェント型AIプラットフォームへ転換していく方針を示した。
連結売上高の2桁成長は、2024年1〜3月期以来8四半期ぶり。営業利益率は11%と、前年同期から約4ポイント改善した。
シン・ジョンファン最高財務責任者(CFO)は同日の決算説明会で、「1〜3月期は季節要因で収益性が低下しやすいが、今回は中核事業に集中した効率化が寄与し、季節要因に左右されにくい収益体質への改善が進んだ」と説明した。
1〜3月期のプラットフォーム事業の売上高は、前年同期比16%増の1兆1827億ウォンだった。中核の「トークビズ」は6086億ウォンで9%増。このうち広告売上高は3384億ウォンで、16%伸びた。
ビジネスメッセージは、金融分野の広告主を中心に配信量が増え、商品ラインアップの拡充で活用範囲も広がったことから、27%増となった。KakaoTalk内のディスプレイ広告も、フィード型広告枠の拡大に加え、動画・画像中心のクリエイティブ活用の広がりや、中小規模のコマース広告主の流入を背景に10%成長した。
チョン代表は、「ビズボード以外のディスプレイ広告商品の売上構成比は、2025年1〜3月期の10%台から、2026年1〜3月期には30%前後まで高まった」と述べ、「広告売上の構成が多様化している」と説明した。
トークビズとコマースの1〜3月期の総取引額は2兆9000億ウォンで、前年同期比10%増だった。3月に実施した「Kakaoショッピングフェスタ」の効果で、トークストアの取引額は18%増、「ギフト」における自分向け購入の取引額は53%増となった。
モビリティ事業は3四半期連続で2桁の増収を記録した。ペイ事業も、決済、金融、プラットフォームサービス全般の成長を受け、四半期売上高が初めて3000億ウォンを上回った。
コンテンツ事業の1〜3月期売上高は7594億ウォンで、前年同期比5%増だった。音楽事業は主要アーティストのアルバム販売好調やグローバル公演規模の拡大を追い風に11%増の4846億ウォン、メディア事業も23%増の924億ウォンとなった。
エージェント型AI化へ・技術・サービス・提携を並行推進
チョン代表は同日、KakaoTalkのエージェント型AIプラットフォーム化を正式に打ち出し、技術面の準備状況も明らかにした。
Kakaoは、すでに公開した「Kanana 2」に続き、150B規模の「Kanana 2.5」を公開する予定だ。
チョン代表は、「Kanana 2.5はエージェント型AIプラットフォーム向けに最適化して新規開発したモデルだ。同規模パラメータ帯の国内外LLMの中でも高い性能を示している」と説明した。さらに、「世界最高水準のモデルと比べるとパラメータ規模は10%未満にとどまるが、計画立案やfunction callingなど実行系の領域では、より優れた性能を発揮している」と述べた。
自社開発の「Kanana」トークナイザーについては、従来比で学習コストを最大40%削減し、推論速度を最大60%改善したとしている。
サービス面では、「Kanana in KakaoTalk」が3月にiOS向けクローズドベータテスト(CBT)を終え、Android版の提供も開始した。チョン代表は、継続利用率が約70%で、CBT時と同水準を維持していると明らかにした。
4月の1カ月間のモニタリングでは、先行公開機能に対して肯定的な反応を示した利用者の比率が約70%、AI応答品質を肯定的に評価した利用者の比率は約80%だった。年末までに、Kananaモデルを利用可能なユーザー数は3100万人に達する見通しという。
「ChatGPT for Kakao」の累計加入者は1100万人を突破した。月間アクティブユーザー数(MAU)は前四半期比で約2倍となり、1人当たりの月間送信メッセージ数も2倍超に拡大した。
先月投入した「Kanana Search」については、提供開始から3週目の時点で、対象ユーザーの検索利用量が既存のショップ検索を有意に上回ったという。
提携面では、4月から「Kanana in KakaoTalk」と「ギフト」を連携させたエージェントコマースの初期実証を進めている。今月中には、外部コマースパートナーとの連携実験にも着手する計画だ。
チョン代表は、「次の四半期決算発表までに、主要分野の提携先と連動したエージェントコマースの初期形を体験できるようにする」と述べた。そのうえで、「利用者は会話の流れの中で素早く意思決定でき、パートナー企業は購買意欲の高い流入を新たな経路で確保できる。こうした相乗効果のある構造を定着させたい」とした。
下期にはコマース広告枠をオープン型の構造へ転換し、年末までに月次コマース取引額に対する広告売上比率を年初比で約4倍に引き上げる目標も示した。
事業再編も継続・4〜6月期の利益改善は限定的
ポートフォリオ再編も進めている。現在の連結子会社数は93社で、Kakao Gamesの連結除外手続きが完了すれば87社前後まで減る見通しだ。
シンCFOは、「ヘルスケアとゲームズを含む連結除外対象法人の2025年の合算営業損失は約1000億ウォンだった」としたうえで、「2026年はポートフォリオ効率化の効果が本格的に表れる局面に入る」と説明した。
一方、4〜6月期にはコスト増要因もある。5月からタクシーの流し営業に加盟手数料を課すことが禁止され、モビリティ事業の売上に影響が出る見通しのほか、Piccomaの10周年記念イベントに伴うマーケティング費の増加も見込まれる。
シンCFOは、「4〜6月期は堅調な増収基調が続くものの、一時的なマーケティング費の拡大で利益改善は限定的になる」と述べる一方、「通期でみれば、年初に示した財務ガイダンスは十分達成可能だ」と強調した。Kakaoは2026年通期について、連結売上高10%以上の成長と営業利益率10%の達成を目標に掲げている。
今回の業績は、トークビズの広告とコマース、ペイなどプラットフォーム事業の拡大に、中核事業を軸とした効率化が重なったことが寄与した。下期は、KakaoTalk内で検索、推薦、決済までをつなぐエージェント体験を、実際のサービスとしてどこまで広げられるかが焦点となる。