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コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は6日、余剰の再生可能エネルギーを活用し、同国カリブ海沿岸をビットコインマイニングの拠点として育成する構想を示した。海外投資の呼び込みと地域経済の活性化を狙うもので、先住民ワユ共同体が事業の共同所有者となる案にも言及した。

ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、ペトロ大統領はX(旧Twitter)への投稿で、バランキージャ、サンタマルタ、リオアチャなどの沿岸都市がマイニング施設の立地先になり得ると表明した。コロンビアのクリーンエネルギー資源を生かせば、同様の動きを進めてきたベネズエラやパラグアイに続けるとの認識も示した。

ペトロ大統領は、この構想がカリブ海沿岸の開発を後押しする可能性があると説明。あわせて、コロンビア最大の先住民共同体であるワユ共同体が事業を共同所有する枠組みも提案した。

今回の発言は、Luxor Technologyのアレッサンドロ・チェチェレがパラグアイの事例に触れた投稿に反応したものだ。チェチェレは、パラグアイがイタイプー・ダムの水力発電を活用した結果、世界のビットコインハッシュレートに占める同国の比率が4.3%まで上昇したと指摘した。

これにより、パラグアイは米国、ロシア、中国に次ぐ世界4位のマイニング拠点になったという。

市場では、余剰電力を抱える国がそれを収益化できる点に関心が集まっている。Hashlabsのマネージング・パートナー、ジャラン・メレルードは、新興国が未使用電力を収益源に変える過程で、マイニング産業が一定の経済効果をもたらし得るとの見方を示している。

さらに、米国の商業マイニング事業者が、より高い収益性を求めて人工知能(AI)や高性能計算(HPC)向けに事業を広げるなか、電力コストの低い国がビットコインネットワークのハッシュレートを一段と取り込む余地もあるとされる。

コロンビアの電源構成も、こうした構想を支える材料の一つだ。世界銀行が2024年4月に公表した報告書によると、同国の発電量の最大75%は再生可能エネルギー由来で、世界平均の2倍を超える水準にある。

ペトロ大統領はこれまで、化石燃料に依存するビットコインマイニングについて、地球温暖化や気候変動の悪化を招きかねないと懸念を示してきた。今回の構想は、再生可能エネルギーを前提とすることで、環境負荷を巡る論争を和らげる選択肢として打ち出された形だ。

もっとも、実現に向けた時間的余裕は限られる。ペトロ大統領の任期は8月に終了するため、構想を自ら主導できる期間は3カ月弱にとどまる。

同大統領は憲法上の制約により、5月31日に予定される次期大統領選には出馬しない。

政権交代の可能性も不確定要因だ。予測市場Kalshiのデータでは、次期候補として左派のイバン・セペダ・カストロ上院議員と、保守系で自由市場を掲げるアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャが有力視されている。

ただ、両候補ともこれまでビットコインやデジタル資産について目立った公的発言はしていないという。

ペトロ大統領は2022年8月の就任以降、ビットコインや暗号資産業界に対して比較的中立的な姿勢を取ってきた。今回の発言も、規制緩和や制度変更を打ち出すものというより、エネルギー活用と地域開発を前面に出したマイニング投資の誘致策と位置付けられる。

今後は、次期政権がこの構想を引き継ぐかどうか、またカリブ海沿岸の余剰再生可能エネルギーが実際のマイニング投資につながるかが焦点となる。

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