米CNBCのジム・クレイマー氏は6日、データセンターやAIインフラを巡る投資拡大について、期待先行の過熱ではなく、既に顕在化した需要に対応する動きだとの見方を示した。投資を抑えれば顧客を競合に奪われかねないとし、ビッグテック各社にとっては攻めというより守りの投資だと強調した。
CNBCによると、同氏はデータセンターやAI関連銘柄の上昇を巡る過熱論に反論し、現在の投資局面は将来の需要を当て込む段階ではなく、既に生じている需要に追いつくための局面だと述べた。
市場の一部では、データセンター投資を映画「フィールド・オブ・ドリームス」のように「先に設備を作れば顧客が集まる」との発想で捉える見方がある。これに対しクレイマー氏は、現在のAI市場はそうした状況ではないと指摘。「このデータセンター・ラリーの核心は、おとぎ話ではない。データセンターは実際に建設され、顧客も実際に存在している」と語った。
同氏は、クラウド各社の投資競争についても、単なる過剰支出とはみていない。OpenAIやAnthropic、Metaといった大口顧客が、膨大なAIワークロードを処理できる計算資源とインフラパートナーを既に求めているためだ。
その上で、「資金力のある大口顧客は既にいる。インフラ構築に資金を投じなければ、彼らは別の場所へ向かう」と述べた。
具体例として挙げたのがAmazonとAmazon Web Services(AWS)だ。Amazonは2026年に約2000億ドルの設備投資を計画しており、その大半をデータセンター容量の拡大に振り向ける方針だという。
主要クラウド事業者の競争が激しくなるなか、データセンターの増強は、既存顧客の囲い込みと新規需要の取り込みの前提条件になっているとの見立てだ。
クレイマー氏は、こうした判断について「選択肢というより防衛策に近い」と説明した。「球場を建てなければ顧客は他へ行き、結局は大きな収益機会を逃す」と述べ、Amazonのアンディ・ジャシーCEOによる積極投資に言及した。
データセンターの供給不足が続くなかで増設を遅らせれば、需要そのものが消えるのではなく、AlphabetやMicrosoftなど競合に移る可能性があるという。市場の懐疑派は、AI支出の規模と立ち上がりの速さをなお過小評価しているとの見方も示した。
同氏は、Amazonが投資を減らしたからといって業績が改善するわけではなく、むしろ悪化しかねないと指摘した。需要と支払いが競合に流出する可能性があるためだ。
一連の発言は、AIインフラ競争が新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の維持という側面も持つことを示している。データセンターの増設は単なる設備拡張ではなく、大手AI企業を引き留めるための重要条件になりつつある。