Teslaは4日(現地時間)、2人乗りの量産EV「Cybercab」を公開した。最大の特徴は、ブレーキフルードやブレーキ配管を使わない電子式ブレーキの採用だ。ステアリングもバイワイヤ化しており、ロボタクシー向け車両として構造の簡素化を図った。EV専門メディアInsideEVsが報じた。
Cybercabは、ハンドルとペダルを持たない車両として知られる。今回公開された内容からは、従来型の油圧ブレーキも採用していないことが明らかになった。
車両には、ブレーキフルードのほか、各輪に伸びるブレーキ配管やマスターシリンダーも搭載されていない。代わりに各キャリパーへ電子制御アクチュエーターを組み込み、ローターに制動力を加える構成となっている。
こうした仕組みは「ドライ・ブレーキ・バイ・ワイヤ」と呼ばれる。Cybercabは、この方式を採用する量産車としては世界でも早い事例の一つとなる見通しだ。中国CheryのExeed EX7も4月、類似システムを披露している。
一般的なブレーキ・バイ・ワイヤ車では、電子制御に加えて油圧式マスターシリンダーを残す冗長構成を採る例が多い。これに対しCybercabは、油圧のバックアップ機構を持たず、電子制御のみで制動を担う点が異なる。
操舵も電子式だ。Cybercabにはハンドルがないためステアリングコラムもなく、ステア・バイ・ワイヤを前提とした設計となっている。
Teslaの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏は、電子式ブレーキによって油圧システムの複雑さを減らせると説明した。車両全体に配管を巡らせる必要がなくなるためで、必要なのは各キャリパーまでの配線になるという。
この構成は部品点数の削減にもつながる。ブレーキフルードのリザーバータンク、ブレーキ配管、油圧式マスターシリンダーが不要になるため、製造コストを一部抑えられる可能性がある。加えて、各輪ごとに制動力を個別に制御しやすい点も特徴だ。
制動システムの供給元は公表されていない。電子式ブレーキのサプライヤー候補としては、Brembo、ZF、Boschなどの名前が取り沙汰されている。Bremboは過去に複数のTesla車両で自社の電子式ブレーキシステム「Sensify」を披露しているが、Cybercabへの採用は確認されていない。
Cybercabの要点は、ハンドルやペダルをなくしたことだけではない。ブレーキとステアリングまでバイワイヤ化し、部品点数と構造の複雑さを抑えた点にある。Teslaは、ロボタクシー向け車両の設計をよりシンプルにする方向性を示した。