写真=科学技術情報通信部。9月4日、ソウル市中区の韓国プレスセンターで開かれた「Everyone’s AI」発足会合で記念撮影する関係者。左からペク・ジュンホ FuriosaAI代表、キム・ソンフン Upstage代表、イ・ギョンイル Saltlux代表、パク・ユンヨン KT代表、ペ・ギョンフン副首相、チョン・ジェホン SK Telecom CEO、チョン・シナ Kakao代表、キム・ジフン SK Telecom本部長

韓国政府が、国民の日常利用を想定したAIサービス事業「Everyone’s AI」を始動する。SK Telecom、KT、Kakaoの3コンソーシアムが早ければ9月末から順次ベータ版を公開し、年内の本格提供を目指す。政府は2027年に2500億ウォン(約275億円)を投じ、普及を後押しする方針だ。

韓国の科学技術情報通信部は9月4日、ソウルの韓国プレスセンターで「Everyone’s AI」の発足会合を開き、SK Telecom、Kakao、KTの各コンソーシアムによる開発計画と今後の支援策を公表した。

Everyone’s AIは、政府と民間が共同で進める国民向けAIサービス事業だ。単なるチャットボットにとどまらず、情報検索から申請、予約、決済までを処理するAIエージェントの実装を目指す。

ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は、既存サービスとの差別化の必要性を強調した。「立ち上げ時点で既存サービスと大きな違いがなければ、国民は失望する」と述べたうえで、「驚きを与えられるサービスを実現できるよう力を合わせてほしい」と語った。

政府はEveryone’s AIを、独自のAIファウンデーションモデルや国産ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)、エージェント型AI、データ技術を実サービスにつなげる実証の場としても活用する考えだ。ペ副首相は「国産NPUの活用の場を広げ、エージェント最適化技術やデータ処理技術、基盤技術を融合して国家の基礎体力を高めることも目標だ」と述べた。

◆3コンソーシアム、月内から順次ベータ版を公開

3コンソーシアムは9月末から10月中旬にかけて、ベータサービスを順次提供する。いずれも、利用者の実際の行動につながる機能を重視し、参加企業の強みを生かして差別化を図る。

SK Telecomは、認証から申請、決済までの手続きを代行するAIの提供に力を入れる。電話やSMSベースのエージェントも導入し、アプリやWebの利用が難しい層にも利用チャネルを広げる。

Kakaoは、KakaoTalkや電話といった利用者になじみのあるチャネルを前面に出す。自社のKananaやLG AI ResearchのEXAONEなど国産モデルを基盤に、汎用チャットボットと公共・特化型AIエージェントを提供し、情報検索から申請、予約、決済までを単一の対話で完結できるプラットフォームの構築を目指す。今後は個人向けAIエージェントと、オープン型エージェントマーケットプレイスの拡大も進める。

KTは、リアルタイム検索に基づく汎用AIエージェントと、公共、教育、金融、ショッピングなど10超の分野別サービスをつなぐ戦略を打ち出した。多様な国産AIモデルとGPU、NPUを統合運用し、用途に応じてモデルを接続するAI運用プラットフォーム「Token Factory」を通じて、オープンなAIエコシステムを構築する。

本格展開を前に、利用者獲得競争も動き始めている。SK Telecomは2026年末の月間アクティブユーザー(MAU)500万人、2027年に1000万人を目標に掲げた。KTも2026年に約500万人を目標とし、将来的にはMAU2000万人まで対応できるようシステムを整備する。Kakaoは2026年に500万人を起点とし、2030年に3000万人まで拡大する計画だ。

政府は2027年のEveryone’s AI予算として約2500億ウォン(約275億円)を計上する。このうち1700億ウォン(約187億円)はGPU関連費用で、NVIDIAのB200 GPUを約2000基賃借できる規模を想定する。300億ウォン(約33億円)はシステム運用や安定性の確保、参画企業間の協力支援などに充て、3コンソーシアムにそれぞれ約100億ウォン(約11億円)を配分する。残る500億ウォン(約55億円)は、公共・民間向けAIエージェントの開発と、3プラットフォームに接続するエージェント拡張に投じる。

◆政府は「競争」より「協業」を重視

政府は財政支援を通じて初期の利用基盤を確保し、国産AIモデルやNPU、エージェント技術の市場活用を広げる好循環を生み出したい考えだ。

3コンソーシアムについては、勝ち残り方式で競わせるのではなく、それぞれの強みを生かしながら協業を促す方針を示した。共同ブランディングと共同マーケティングを進め、サービス名称や共通CIを国民公募で決める案も検討している。キム・ギョンマン科学技術情報通信部人工知能政策室長は「参画コンソーシアムとの共同ブランディングや共同マーケティング案についても議論した」と説明した。

ペ副首相は「Everyone’s AIはコンソーシアム間の競争を誘導する事業ではない」と述べ、「緊密に協力し、一つのブランドを作るための共同作業が必要だ」と強調した。

そのうえで「これまでになかったサービス、これまでになかったビジネスモデルを生み出さなければ成功は難しい」とし、「多くの失敗と挑戦を通じて成功するEveryone’s AIを作らなければならない」と語った。

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