Shopify COOが提唱した「X型人材」のイメージ。画像=ChatGPT

米Shopifyのジェス・ハーツ最高執行責任者(COO)が、AI時代の新たな人材像として「X型人材」を提唱した。単一分野を深く掘り下げる従来型の専門人材だけでなく、複数分野で専門性を持ち、職種の枠をまたいで業務を担える人材の重要性が高まるとの考えを示した。米Business Insiderが9月3日(現地時間)に報じた。

ハーツ氏はポッドキャスト「Rapid Response」で、「AIが企業の求める人材像を変えている」と発言した。X型人材は同氏が示した概念で、従来のT型人材をAI時代に合わせて発展させたものと位置付けている。

T型人材は、幅広い知識を備えつつ、特定分野に深い専門性を持つ人材を指す。これに対しX型人材は、複数分野にまたがって専門性を持つのが特徴だ。複雑な概念を素早く理解し、新たな領域を学びながら、必要に応じて他職種の業務にも一定水準で対応できる人材を想定している。

ハーツ氏は、自らデータ関連業務を担っている例を挙げ、「その気になれば10点満点で7点程度のデザイナーにはなれる」と説明した。AIが不足する知識やスキルを補完することで、従業員は従来の職務の境界を越え、活動領域を広げられるとの見方だ。

こうした変化は、組織設計にも影響を及ぼしそうだ。ハーツ氏は、今後は個々の専門性だけでなく、異なる強みを持つ人材をどう組み合わせるかが一段と重要になると指摘した。AI時代には、チーム内の多様な専門性を組み合わせる力が、組織の競争力を左右する可能性があるという。

Shopifyはすでに、AI活用を人事と業務運営の仕組みに組み込んでいる。トビアス・リュトケ最高経営責任者(CEO)は昨年4月の社内メモで、AI活用を全社員に求める基本要件とし、人事評価や同僚評価にも関連項目を盛り込む方針を示した。追加の人員やリソースを求める前に、まずAIで解決できない理由を示すよう求めたという。

この流れは他社にも広がっている。Anthropicのダニエラ・アモデイ社長やJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOも、AI時代にはコミュニケーション力や批判的思考、感情知能(EQ)といった人間中心の能力が重要になると繰り返し強調してきた。

AIによって専門知識へのハードルが下がるなか、企業が人材に求める評価軸も変わりつつある。単一分野の深い専門性だけでなく、学習力や適応力、異分野をつなぐ力まで含めて問う方向に広がっている。

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