LG Energy Solutionの系統用ESS製品(写真=LG Energy Solution)

米国政府がバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を国家安全保障の対象設備に位置付けたことで、北米に生産拠点を持つ韓国電池大手3社に追い風が吹いている。連邦のエネルギーインフラ調達で米国産優先が強まる見通しで、LG Energy Solution、SK On、Samsung SDIの受注拡大が期待される。

各社の動きも具体化している。LG Energy Solutionは2026年下期だけで70GWh規模のESS新規受注を見込む。SK Onは5年間で9GWhを供給する契約を先行確保した。Samsung SDIは電気自動車(EV)向けの設備をESS向けに転用し、供給能力の確保を進めている。

米政府は先月、電力網設備を国家安全保障の対象と位置付ける大統領令に署名した。大統領令では、6万9000ボルト(69kV)以上の送電網を「バルク電力システム」と定義し、変圧器、高圧遮断器、インバーター、BESS、発電機、産業用制御システムを対象設備に含めた。

米国は連邦のエネルギーインフラ調達で米国産優先の姿勢を強めており、現地生産体制を持つ企業の競争力が高まる見込みだ。焦点は、米国内で製造しているかどうかにある。

韓国電池大手3社はいずれも米国にESSの生産拠点を持つ。LG Energy Solutionの米国ESS生産能力は57GWh規模で、Samsung SDIも年末までに北米で20GWhを確保する見通しだ。

SK Onは単独工場とHyundai Motor Groupとの合弁工場を合わせ、約100GWhの現地生産能力を備える。先月末には、米ESS企業NeoVolta Powerとバッテリーセル供給契約を締結した。

契約期間は2027年から2031年までの5年間で、供給規模は9GWh。リン酸鉄リチウム(LFP)パウチ型バッテリーセルを供給し、生産はジョージア州の工場で行う。

LG Energy Solutionの2026年ESS新規受注目標は90GWhだ。IBK投資証券によると、上期の新規受注は約20GWhで、目標達成には下期に70GWhの積み増しが必要になる。

同社は説明会で、2026年3QのESS出荷量が前四半期比で50%超増加し、下期の北米生産量も上期の2倍を上回る見通しだと説明した。ビッグテックによる人工知能(AI)データセンタープロジェクトの受注を進めており、一部顧客とはバッテリー直納方式も協議しているという。

LG Energy Solutionは今後、セル、パック、コンテナの供給能力を同時に拡大する方針だ。2027年にはLFP角形電池の量産に加え、長時間運転型ESS向けナトリウムイオン電池の事業化も推進する。

あわせて、システム統合(SI)や運用・保守(O&M)、エネルギー管理ソフトウェアを組み合わせた高付加価値事業の拡大も目指す。AIデータセンター向け標準プラットフォームを開発し、市場先行を狙う計画だ。

SK Onは年内に、別契約として9GWh規模のESS向けLFPセルを支給材方式で追加供給する案も進めている。実現すれば、NeoVolta Powerとの協力規模は18GWhに拡大する。

Samsung SDIはEV向け生産設備をESS向けに切り替え、供給量を確保している。GMとの合弁向けとして計画していた36GWh分を単独法人側へ振り替え、生産インフラを確保した。

Daishin証券は、Samsung SDIの2026年3Qの北米ESS売上高が前四半期比25%増となり、AMPC補助金1217億ウォン(約134億円)が反映されると予測した。SK Onも現地顧客の開拓を進めており、昨年9月には再生可能エネルギー開発会社Flatironと1GWh規模のESS供給契約を結んでいる。

Mirae Asset証券はSamsung SDIについて、資金力や角形フォームファクターに加え、中国関連の規制強化も受注確保に追い風になると分析した。業界関係者は「顧客需要に応じて柔軟に運用している。設備の大部分を共用できるため対応は可能だ」と説明した。

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