Kakaoは4日、カカオトークのギフトサービス「カカオトーク ギフト」で、自分向けの購入が拡大していると明らかにした。誕生日や記念日向けの贈答需要を中心に成長してきた同サービスは、足元で日常的な買い物の場としての利用も広がっている。自分買いの構成比はまだ全体の約2割だが、成長率は全体を大きく上回っている。
Kakaoによると、2026年2Qの「カカオトーク ギフト」における自分買いの取引額は前年同期比39%増となり、サービス全体の取引額の約20%を占めた。同期間のトックビズ・コマースの統合取引額は9%増の2兆7000億ウォン(約2,970億円)、売上高は10%増の2432億ウォン(約268億円)だった。
自分買いの高成長は2025年から続いている。自分買いの取引額は2025年3Qに前年同期比40%増、4Qに47%増、2026年1Qにも53%増となった。2025年3Qには、「カカオトーク ギフト」全体の取引額の伸びが1%にとどまる中、自分買いは40%伸び、全体成長を大きく上回った。
Kakaoが自分買いを強化する背景には、贈答需要に偏っていたコマース事業の利用機会を広げ、購入頻度を高める狙いがある。利用者が自分向け商品を探す機会が増えれば、実際の取引だけでなく広告売上の拡大にもつながる。
同社は2024年4月、自分買い向けプロモーション「フォー・ミー・ウィーク」を実施して以降、関連施策を拡充してきた。2025年5月には「自分にギフト」タブを新設し、数量限定商品やパーソナライズランキング、専用割引クーポンなどを提供。2026年1月には商品ランキングに「自腹購入」項目を追加し、3月の「カカオショッピングフェスタ」でも自分買い向け特典を強化した。
実際、贈り物需要と自分買い需要では選ばれる商品にも違いがみられた。Kakaoが3月の「カカオショッピングフェスタ」の利用状況を分析したところ、自分買いで最も多く選ばれた商品はDysonの「Airwrap Styler」だった。
一方、同期間に他者向けギフトとして最も多く送られたのは、Baedal Minjokの5万ウォン交換券(約5500円)だった。相手には使い勝手のよい交換券を贈る一方、自分向けには価格帯が高くても嗜好が明確な商品を選ぶ傾向が表れた。
「カカオトーク ギフト」がKakaoの主力コマースサービスに成長した背景には、カカオトーク上の人間関係を基盤とした導線がある。相手の住所を知らなくても友だちに商品を送ることができ、誕生日通知も自然な購買需要を生み出してきた。商品検索や価格比較を軸に成長してきた従来型ECとは異なる領域を築いてきた形だ。
ただ、ギフト需要は誕生日や記念日、祝祭日といったイベントに左右されやすい。これに対し自分買いは、割引や新商品、限定構成などを前面に打ち出すことで、贈る理由がない場面でも利用者を呼び込める。既存出店商品の需要も、ギフト中心から日常消費へと広がる可能性がある。
自分買いの拡大は広告事業との連携余地も大きい。Kakaoは6月、「カカオトーク ギフト」と「トックストア」の販売者の商品情報を広告システムと連動させる「コマース・カタログ広告」を導入した。販売者が別途広告クリエイティブを用意しなくても、商品をカカオトークや「カカオトーク ギフト」、「トックディール」など主要面に表示できる仕組みだ。
「カカオトーク ギフト」で自分向け商品を探す利用者が増えれば、購買意向の高い利用者に広告を配信できる機会も増える。自分買いを通じて訪問頻度と商品閲覧を増やし、販売者の広告出稿と実取引の双方につなげる構図だ。
今後は、Kakaoが準備を進めるカカオトーク基盤の統合メンバーシップも、自分買い拡大戦略と連動する可能性がある。Kakaoはショッピング、モビリティ、コンテンツ、金融・決済など主要サービスの特典を、カカオトークを軸に連携するメンバーシップを検討している。
「カカオトーク ギフト」に割引やポイント還元などの特典が適用されれば、利用者がカカオトーク内で継続的に商品を購入する動機になり得る。ただし、参加会社や具体的な特典、提供方法はまだ決まっていない。
AIも、ギフト需要と自分買い需要をつなぐ手段になりそうだ。Kakaoは2026年1月、「カカオトーク ギフト」の商品詳細画面に、AIによる商品要約と推薦機能を導入した。現時点では商品属性や推薦対象、ギフトの用途を提示し、贈り物選びを支援する役割が中心だが、自分買いの拡大に伴い、利用者本人向けの商品提案へと活用範囲が広がる可能性がある。
Kakaoが推進するエージェンティック・コマースも、利用者の要請に応じて商品探索・推薦から購入、決済までをつなぐことを目指している。自分買いは、取引、広告、メンバーシップ、AI推薦を結び付ける新たな成長ドライバーになり得る。
もっとも、自分で使う商品を買う場面では、利用者がNaverショッピングやCoupangなどで価格や割引、配送速度、レビューを比較する可能性が高い。自分買いが広がるほど、「カカオトーク ギフト」も人間関係を起点とした利便性だけでなく、一般的なECに近い条件で競争する局面が増える。
業界関係者は「『カカオトーク ギフト』の強みは、カカオトーク上のつながりの中で自然に購買が生まれる点にある。ただ、自分買い市場では価格や配送の競争力がより重要になる」とした上で、「KakaoがメンバーシップとAI推薦を通じて利用者のリピート購入習慣を作れるかが鍵になる」と話した。