OpenAIが、水道事業者や電力事業者、自治体など重要インフラを担う組織向けに、AIモデルの提供や技術支援を行うプログラムを拡大する。Axiosが3日、報じた。
報道によると、OpenAIのグレッグ・ブロックマン社長は、本社で開いたセキュリティサミットで、約300人のセキュリティ担当者に新たなプログラムを公表した。
OpenAIは、重要サービスの保護に向けた取り組みの一環として、「Daybreak for Frontline Defenders initiative」に10億ドル(約1,500億円)を投じる。
この資金は、参加機関によるモデル利用の拡大のほか、研修、技術支援、パートナーシップの強化に充てる。あわせて「Daybreak for America program」も立ち上げ、自治体、水道事業者、電力事業者、地域銀行など、重要インフラ機関でのモデル活用を後押しする。
また、OpenAIはMS-ISAC(Multi-State Information Sharing and Analysis Center)と連携し、州政府および地方自治体のサイバー防衛担当者を対象に、OpenAIモデルの活用を学ぶパイロットプログラムも進める。さらに、35社超のテクノロジー企業やサイバーセキュリティ企業と協力し、各社のツールやサービス、業務プロセスへの高度なモデルの組み込みを進める方針だ。
一方で、セキュリティ関係者の間では、AIモデルが公共施設や公共サービスを支える複雑なシステムにおいて、脆弱性を自律的に発見し、組み合わせて悪用できるようになることへの懸念も強い。OpenAIを含む先行AI企業は、先端モデルの高度なサイバー能力に一定の制限を設けてきたが、オープンソースモデルの性能向上は速く、AIを使った攻撃が想定より早く現実化するとの見方も広がっている。
OpenAIは今回のプログラムにより、予算が限られるインフラ運営機関でも、レガシーコードの点検、不審な挙動の分析、脆弱性の特定と検証、リスクの優先順位付け、セキュリティパッチの開発・テストが可能になると説明している。
ただ、サービス拡充や教育支援だけで、長年にわたるインフラのセキュリティ課題を解決できるわけではないとの指摘もある。AIベースのツールがかえって問題を拡大させる可能性もあり、多くの機関では、デジタル脅威から物理システムを守る知見を持つ専門人材の確保が引き続き課題になると、Axiosは伝えている。