Teslaのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の2025年報酬が、同社の平均社員の252万2203倍に達したことが分かった。米労働組合連盟AFL-CIOが公表した年次報告書「Executive Paywatch」が明らかにした。
米電気自動車専門メディアElectrekは13日(現地時間)、同報告書を引用し、マスク氏の2025年報酬がS&P500企業のCEOの中で最高額だったと報じた。
Teslaが開示した資料によると、マスク氏の報酬総額は1580億ドル。同社の2025年売上高940億ドルを上回る水準となった。
一方、Teslaの2025年業績は減速した。売上高は前年比3%減と創業以来初の減収となり、米国会計基準(GAAP)ベースの営業利益も61%減少した。
S&P500企業におけるCEOと従業員の報酬格差は、おおむね300倍前後とされる。ただ、マスク氏を含めると、2025年の平均倍率は5387倍にまで跳ね上がるという。
AFL-CIOは、外れ値となるマスク氏を除いた場合の平均も別途算出し、312倍だったと説明した。Teslaの従業員数は約13万5000人で、報告書はマスク氏1人の年次報酬が全社員の賃金総額の数倍に相当する計算になると指摘している。
もっとも、この報酬額は現金で支払われたものではない。総額のうち約1320億ドルは、2025年に株主承認を得た10年型の「CEO成果報酬パッケージ」に基づく株式報酬で、残る約260億ドルは別の株式報酬を会計基準に基づいて評価した推計額だ。
Teslaは開示資料で、「この金額と実際の実現価値との間には大きな乖離が生じ得る」と明記した。開示時点で当該パッケージに基づく株式は1株も権利確定しておらず、マスク氏はここ数年、Teslaから給与を受け取っていないため、実現ベースの報酬は事実上ゼロドルとしている。
AFL-CIOの報告書は、マスク氏がTeslaの業績悪化に相応の責任を負っているとも指摘した。個人資金2億8800万ドルを反電気自動車キャンペーンに投じ、米国の電気自動車補助金政策の頓挫に関与した結果、Teslaは四半期ベースで14億ドルの損失を被ったとしている。
さらに、ソーシャルメディア上での人種差別的発言がブランドイメージを損ない、販売減少や不買運動につながったとの分析も示した。
このほか報告書は、完全自動運転(FSD)を巡る誇大な宣伝、Cybertruckなど採算面で無理のある新規事業の推進、TeslaのGPU資源を個人所有の人工知能企業xAIに振り向けたことなども、業績悪化の要因として列挙した。
AFL-CIOは、「会社に最大の損害を与えた人物が、同時に最も多額の報酬を受け取った形だ」と評価している。