韓国のゲーム各社で、モバイルMMORPG中心だった成長モデルの見直しが進んでいる。2026年4〜6月期と上期の決算では、海外市場やPC/コンソール向け新作が業績を大きく押し上げた企業がある一方、既存IPを軸に地域・プラットフォーム・ジャンルを広げて収益源を増やす動きも目立った。
とりわけ存在感を示したのが、グローバルPC/コンソール市場向けタイトルだ。Pearl AbyssとKRAFTONは、新作と既存作の両輪で海外売上を伸ばし、業績拡大につなげた。
Pearl Abyssは、3月末に発売した「Crimson Desert」の寄与が本格化した。4〜6月期の売上高は1926億ウォンと前年同期比247.7%増。このうち同タイトルが1361億ウォンを占め、売上全体の約7割を稼いだ。
海外売上比率は91%に達し、北米と欧州の2地域だけで全売上の75%を占めた。国内ユーザーの拡大よりも、海外販売の伸長が売上増をけん引した格好だ。
同社は販売基盤の維持に向け、年内にダウンロードコンテンツ(DLC)を投入する。2027年上期にはNintendo Switch 2版も提供する計画としている。
KRAFTONでも同様の傾向が鮮明だった。4〜6月期は「PUBG: BATTLEGROUNDS」のPC/コンソール版で月間アクティブユーザー数(MAU)が前年同期比20%以上増え、関連売上は70%以上伸びた。5月にアーリーアクセスを始めた新作「Subnautica 2」も、発売22日で累計販売500万本を突破し、業績に上積み寄与した。
この結果、4〜6月期のPC売上は5604億ウォンとなり、四半期ベースで初めて5000億ウォンを超えた。コンソール売上も「Subnautica 2」の寄与で前年同期比143.3%増となった。一方、同期間のモバイル売上の伸びは5.5%にとどまり、PC/コンソールの伸びが際立った。
Pearl AbyssとKRAFTONに共通するのは、グローバルPC/コンソール向けの新作と既存作が業績規模の拡大を直接後押しした点だ。これに対し、Netmarble、NCSOFT、Nexonは、既存事業を土台に新たな収益源を積み増す形で成長を図った。
Netmarbleの4〜6月期の海外売上は5808億ウォンで、売上全体の78%を占めた。地域別では北米が39%、韓国が22%で、北米売上が国内を上回った。ジャンル別でもRPGが42%、カジュアルが35%、MMORPGが17%と、特定ジャンルへの偏りは比較的小さい。一方、営業利益は801億ウォンで、前年同期比20.8%減だった。
売上増には、既存作「The Seven Deadly Sins: Origin」のアップデートに加え、6月18日に発売した新作MMORPG「Sol: Enchant」の初動が寄与した。MMORPG依存を別ジャンルが置き換えたというより、既存作の運営強化と新作投入が重なって押し上げた構図といえる。
NCSOFTの4〜6月期売上高は7705億ウォンで、前年同期比101%増だった。海外売上比率は52%と国内の48%を上回り、4四半期連続で上昇した。同四半期にはグローバルモバイルゲームプラットフォーム「JustPlay」が初めて連結対象に加わった。
JustPlayの寄与により、モバイルカジュアル売上は1697億ウォンと全体の22%を占めた。ただ、既存事業が縮小したわけではない。PCゲーム売上は3438億ウォンと1〜3月期に続いて四半期最高を更新し、「Lineage Classic」は1855億ウォン、「Lineage M」も前四半期比4%増となった。既存MMORPGを維持しながら、海外とカジュアル分野を新たな柱に加えた形だ。
Nexonも同様の流れにある。4〜6月期の売上高は1兆1390億ウォン(円換算ベースで前年同期比2%増)、営業利益は2943億ウォン(17%減)。上期累計では売上高が2兆5603億ウォン(17%増)、営業利益が8379億ウォン(13%増)となり、上期として過去最高を更新した。
成長をけん引したのは「MapleStory」フランチャイズだ。4〜6月期売上は前年同期比63%増となり、四半期として過去最高を更新した。サンドボックス型の創作プラットフォーム「MapleStory Worlds」は売上が123%増、モバイル「MapleStory: Grow」も海外で伸びた。
2025年10月に発売したPC/コンソール向け新作「ARC Raiders」も業績に寄与した。グローバル累計販売本数は1630万本を超えた。上期の海外売上とPC/コンソール売上は前年同期比でそれぞれ44%増、27%増となり、いずれも上期として過去最高だった。
一方、戦略の方向性が同じでも、業績改善に直結するとは限らない。Kakao GamesとDevsistersはいずれもポートフォリオの多角化を進めているが、4〜6月期はそろって営業赤字となった。
Kakao Gamesは、既存MMORPGのグローバル展開、外部IPの活用、スポーツ・カジュアルジャンルの拡充をポートフォリオ拡大の3本柱に据える。しかし、4〜6月期売上は750億ウォンで前年同期比35.2%減、営業損失は230億ウォンだった。共同代表のイ・シウ氏は、新作投入の遅れが繰り返され、市場の信頼が低下したと分析した。
Devsistersも、6月25日から「CookieRun Classic」の海外展開をタイなどで拡大したほか、TCG(トレーディングカードゲーム)やキャラクター商品など非ゲームIP事業を上期売上の1割超まで広げるなど、多角化を進めている。それでも4〜6月期売上は527億ウォン、営業損失は160億ウォンだった。ライブゲームが再整備局面に入り、短期的に売上が減少したことが響いたとして、7〜9月期から収益性が改善するとの見通しを示した。
今回の決算で浮かび上がったのは、新たな成長分野が既存の主力事業を置き換えるのではなく、その上に積み上がっている点だ。Pearl Abyssは「Black Desert」で収益を確保しつつ「Crimson Desert」を新たな柱に加え、KRAFTONは「PUBG」の成長に「Subnautica 2」を重ねた。NCSOFTは「Lineage」系列にモバイルカジュアル事業を加え、Nexonは「MapleStory」フランチャイズに加えてPC/コンソールの新規IPとして「ARC Raiders」を育てている。
つまり各社は、中核IPの収益力を維持しながら、新市場や新プラットフォームで第2、第3の売上源を育てる段階に入ったといえる。
もっとも、売上拡大がそのまま利益成長につながるわけではない。Netmarbleのように、支払手数料やマーケティング費用などのコスト負担が膨らめば、増収でも減益となる可能性がある。今後は新たな売上源の規模だけでなく、それを安定収益へ転換できるかが重要になる。
業界関係者は「海外とPC/コンソールへ収益源を広げる流れはすでに明確だが、売上増がそのまま利益増につながるわけではない」と指摘する。そのうえで「今後は新市場で確保した売上をどこまで安定的に収益化できるかが、ゲーム会社ごとの差になる」と話した。