トークンの買い戻し・焼却の広がりが暗号資産価格を押し上げる可能性があるという。写真=Reve AI

Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者(CIO)は13日、プロトコル収益をトークンの買い戻しや焼却に回す仕組みが広がれば、暗号資産の価値は少なくとも2倍に見直される可能性があるとの見方を示した。ビットコインを除く暗号資産市場では、ネットワーク収益を軸に価値を測る動きが広がりつつある一方、投資家はその変化を十分に織り込めていないと指摘している。Cointelegraphが報じた。

トークンの買い戻しは、プロトコルが手数料収入などを使って市場から自らのトークンを買い戻す仕組み。買い戻したトークンを焼却すれば流通量が減るため、需要が維持される限り、価格の押し上げ要因になり得る。上場企業が利益を原資に自社株買いと消却を行うのに近い構図だ。

ホーガン氏は、Hyperliquid、Uniswap、Aave、Pump.fun、Lighterを例示し、手数料収益を活用してトークンを買い戻す、あるいは流通量を減らすモデルがすでに機能していると説明した。こうした仕組みは、今後12〜24カ月でDeFiアプリケーションやレイヤー1(L1)ネットワーク全体に広がる可能性があるという。

この変化は、トークンの評価手法にも影響を与える可能性がある。プロトコル収益とトークン価値の連動が強まれば、投資家は従来型のバリュエーション指標を適用しやすくなるとホーガン氏はみている。

一方で、トークン保有者には株主のようなキャッシュフローに対する法的請求権がなく、コミュニティが定めるトークノミクスも変更され得る点を限界として挙げた。

個別事例として、Hyperliquidの分散型取引所(DEX)は昨年、8億ドル超(約1200億円)の収益を計上し、その約99%をHYPEの買い戻しと焼却に充てている。Hyperliquidは8月6日、第2四半期の収益が1億6900万ドル(約254億円)だったと公表。このうち1億4100万ドル(約212億円)をHYPEの買い戻しに投じたとしている。

Uniswapも、トークンと収益の連動を強めた事例として挙げられた。2025年12月22日、「UNIfication」改編の承認後、プロトコル手数料をUNIの焼却の原資に充てる仕組みを導入した。プロトコルの利用が増えるほど、UNIの供給減少につながる構造になった。

Aaveも買い戻しプログラムを運用している。Aave DAOは最初の10カ月で20万5000超のAAVEを買い取った。Aave創業者のステニ・クレチョフ氏は6月25日、裁量介入なしで機能する自動買い戻しメカニズムを設計していると発表。AaveプロトコルとステーブルコインGHOの収益の100%をAAVEトークンに振り向けると述べた。あわせて、この構想は「Aave wins」提案ですでに決まっていると説明した。

背景には、米国の規制環境の変化がある。ホーガン氏は、これまでプロジェクトは証券法上の懸念から収益分配に近い設計を避けてきたが、足元では米規制当局の姿勢がより緩和的になったことで、こうした設計を採用しやすくなったとの見方を示した。

同氏は8月5日にも、関連する規制ガイドラインの整備だけでも暗号資産市場の拡大は続き得ると述べていた。

こうした流れは、ビットコイン以外の暗号資産における投資判断の軸が変わりつつあることを示している。ネットワーク利用の拡大でプロトコル収益が増え、その収益が買い戻しや焼却に回る構造が定着すれば、トークン価格は将来期待だけでなく、実際のキャッシュ創出力にもより敏感に反応する可能性がある。

もっとも、トークン保有者の権利の位置付けやトークノミクス変更の余地はなお大きな変数だ。再評価がどこまで進むかは、各プロジェクトの設計と実行力に左右されることになりそうだ。

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