Spotifyは、アーティスト報酬や経営陣の投資先、人工知能(AI)対応を巡る批判が続く中でも、音楽ストリーミング市場で最大手としての地位を維持している。Engadgetが13日(現地時間)に伝えたところによると、有料会員数は2億9300万人、無料会員を含む月間アクティブユーザー数(MAU)は7億6100万人に達した。
同社は業界最大手であるだけに、アーティストへの報酬を巡る議論の中心に置かれてきた。背景には、デジタルアルバムを個別に購入すると一般に10~15ドルかかる一方、米国のSpotify Premiumは月額13ドルにとどまるという価格構造がある。
こうした批判に加え、創業者のダニエル・エク氏の動向も波紋を広げた。エク氏は現在、Spotifyの取締役会議長を務めており、昨年は防衛産業技術スタートアップのHelsingに6億9400万ドルを投資した。さらに同社の取締役会議長にも就いている。これを受け、一部アーティストはSpotifyから楽曲を引き上げた。ただ、直近四半期は売上高、利益、MAUのいずれも増加した。
AIを巡る対応も新たな争点になっている。Spotifyはこれまで、AI生成コンテンツに対して強い管理を行ってこなかったとされ、AI音楽がプラットフォーム全体に広がった。同社はAIで作られたミュージシャンについて、「AIペルソナ」として表示する方針を示しているが、基本的にはアカウント運営者の自己申告に依存している。人気アカウントについては、人手による確認とAIベースの審査を組み合わせ、AIペルソナに該当するかどうかを判断する計画だ。
利用者向けAI機能の拡充も議論を呼んでいる。Spotifyはすでに、AIベースのDJ機能や、自然言語でプレイリストを作成できる機能を提供している。さらにUniversalとのライセンス契約に基づき、利用者がAIでリミックスやカバーを作成できる機能も追加する予定だ。この機能は、Premiumプラン向けの有料オプションとして提供される。
もっとも、他の音楽サービスへ乗り換えるハードルは低くない。音楽の聴取手段そのものは多様化しているが、コストや利便性に加え、既存の音楽データを別サービスへ移す手間も利用者の制約要因になっている。
今回の論争は、Spotifyの市場支配力そのものだけでなく、サービス運営の在り方やAI導入の方向性まで問われていることを示している。報酬設計、AI生成コンテンツの表記ルール、利用者向け機能の拡張は、成長とは別の軸で引き続き検証が求められる課題として残りそうだ。