Fordの中型EVピックアップ「Fathom」(写真=Ford)

Fordは、中型EVピックアップ「Fathom」を2027年初めに量産し、2万8350ドル(約425万円)から販売する。新たな「Universal EV」プラットフォームを初採用する車種で、生産面ではルイビル組立工場に新方式を導入し、組立時間を40%短縮する計画だ。

EV専門メディアのElectrekが13日(現地時間)に報じた。Fathomは2027年第1四半期にルイビル組立工場で生産を開始する予定で、Fordにとって同工場のEV生産転換を象徴するモデルとなる。

今回の発表で注目されるのは、価格よりも生産方式の刷新だ。Fordは1年前、内燃機関車を手掛けてきたルイビル組立工場をEV生産拠点へ転換する方針を示しており、Fathomがその起点となる。

Fordは同工場に50億ドル(約7500億円)を投じ、4000人の新規雇用を創出する計画だ。あわせて、「Universal EV」プラットフォームに対応する生産設備も整備する。

新たな生産体制は、従来の完成車組立ラインとは構造が異なる。車両全体を一体で組み上げるのではなく、フロント、リア、バッテリーデッキの3区画に分けて生産する方式を採る。

フロントとリアのボディーには大型アルミ一体鋳造を採用する。これにより、Maverickで146点を要する部位を、Fathomでは前後2点の部品に集約できるという。

内装は、バッテリーハウジング上で先行して組み付ける。シート、コンソール、カーペットを、車体床の役割を担うバッテリーハウジング上で組み立てた後、バッテリーを下側から結合する構造とした。

Fordは、この「Universal EV生産システム」により、ルイビル組立工場で生産する既存車と比べ、Fathomの組立時間を40%短縮できるとしている。

現場の作業負担の軽減も見込む。Fordの最高製造責任者ブライス・カリー氏は、この方式について「ねじる、回す、かがむといった動作を減らせる」と説明した。

さらに、フェンダー越しに身を乗り出す動作を84%削減するよう設計したという。配線ハーネスも第1世代の電動SUVに比べて4000フィート以上短く、22ポンド(約10kg)軽量化し、取り付けやすくしたとしている。

Fordは、削減した組立時間を自動化と内製化に再投資し、品質向上とコスト低減につなげる方針だ。ルイビル組立工場は、Fordの世界の生産拠点の中で、最終組立工程の自動化率が最も高い工場になる見通しとしている。

ソフトウェア面でも工程を見直す。組立工場として初めて、ソフトウェア書き込み用のフラッシュステーションを設置し、車両が完成する前に最新ソフトウェアを適用できるようにした。

組立中に問題が見つかった場合でも、車両を別途止めることなく更新を進められる。従来は1台当たり約10分を要していたが、今後は組立ラインを流れる間に処理できるとしている。

工場内の5G環境を基盤に、作業員がリアルタイムで診断や品質点検を行える体制も整える。部品点数や工程数を減らすことで、不具合の発生余地を抑え、品質改善につなげる考えだ。

Fordは商品概要も明らかにした。Fathomは、Toyota RAV4を上回る室内空間を確保するという。

大型の高解像度タッチスクリーンに加え、双方向充電を活用するV2L、デジタルキー、Apple CarPlay、Android Autoを標準装備する。

また、Appleの地図機能を車載ナビゲーションに直接統合する初の車種になるとし、ターンバイターン案内やEV向けの経路案内に対応するとしている。

Fathomは、量販価格帯の電動ピックアップにとどまらず、生産工程やソフトウェア適用の仕組みまで見直す最初のモデルと位置付けられる。Fordは2027年第1四半期に新たな生産システムと組立設備を立ち上げ、Fathomを皮切りに電動化を本格化させる計画だ。

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