Standard Charteredは、分散型取引所(DEX)Uniswapのトークン「UNI」について、2030年の目標価格として掲げてきた100ドルが低すぎる可能性があるとの見方を示した。手数料収益の拡大によって、UNIの買い戻し・焼却ペースが想定以上に高まっているためだ。
ブロックチェーンメディアThe Defiantが8月13日(現地時間)に報じた。Standard Charteredでデジタル資産リサーチ責任者を務めるジェフ・ケンドリック氏は、Robinhood Chainで発生したUniswapの手数料収益が、UNIの買い戻し・焼却を押し上げていると指摘。従来の価格見通しには見直し余地があるとした。
背景にあるのは、Uniswapの収益拡大だ。DeFiLlamaによると、Uniswapのプロトコル収益は7月27日から8月12日までの17日間で日次平均24万4222ドルとなり、その直前17日間の平均9万9770ドルから大きく増加した。
この収益は、2025年12月に実施された「Unification」アップグレードに基づき、UNIの買い戻し・焼却に充てられるという。
UNI価格が3.53ドルの水準で推移した場合、年間では約2500万トークンの焼却が可能となる。流通量6億2420万トークンに対し、約4%に相当する規模だ。
ケンドリック氏は、この年4%ペースの焼却について、長期的には維持しにくい水準だと指摘した。さらに、UNIが同氏の2026年末目標である6.50ドルに達した場合でも、年換算の焼却率は2.2%となり、なお持続性には疑問が残ると述べた。
その上で同氏は、足元の収益拡大が追加提携の本格化前の段階で起きている点を重視している。Robinhood以外の提携がさらに加わる前の時点でも収益が大きく伸びていることから、2030年のUNI目標100ドルはなお保守的ではないかとの見方を示した。
直近の収益急増をけん引しているのはRobinhood Chainだ。過去7日間のUniswapプロトコル総収益155万ドルのうち、92万5054ドルがRobinhood Chain上のv3から発生し、全体の約60%を占めた。
取引高でも同チェーンへの集中が目立つ。同期間のRobinhood Chainにおける24時間のDEX取引高は5億1110万ドルで、このうちUniswapは4億3930万ドルを占め、シェアは86%に達した。
もっとも、手数料増加をRobinhood Chainだけで説明するのは難しい。Uniswap Labsは7月2日、Robinhood Chainにv2、v3、v4、UniswapXを展開したと発表し、自社を主要なパブリックAMMと位置付けた。
その後の7月17日には、「プロトコル手数料拡大: Robinhood Chain」と「v4プロトコル手数料の有効化」という2件のガバナンス提案が実施された。これらの施策は、収益が急増した時期と重なっている。
Robinhood Chain自体の成長指標を巡っても、集計基準による差がみられる。ケンドリック氏はEntropy Advisersのデータを引用し、同チェーンの総預かり資産(TVL)は10億ドル弱で、この基準では過去最速で成長したチェーンだと評価した。
一方、DeFiLlama基準ではTVLは5億697万ドル、ブリッジ流入資産は15億5000万ドルだった。7月上旬のデータでは、当初想定されていたトークン化株式よりも、ミームコイン取引が成長を主導していたことも確認されたという。
市場では、こうした焼却期待はまだ十分に織り込まれていない。CoinGeckoによると、UNIは24時間で6.7%、直近1週間で13.4%下落し、3.53ドルで取引された。時価総額は22億ドル。
Standard Charteredは6月15日にUNIのカバレッジを開始し、当時の価格2.50ドルを前提に、2030年の目標価格を100ドルとしていた。
今後の焦点は、足元の手数料収益と買い戻し・焼却のペースがどこまで持続するかにある。収益はRobinhood Chainに急速に集中しており、足元の増加にはプロトコル手数料拡大の効果も反映されている。UNIの再評価は、焼却メカニズムそのものよりも、収益基盤が中長期で維持されるかどうかに左右される構図となっている。