放送番組に編成できる広告の総量が増え、中間広告やバーチャル広告、間接広告に関する規制も緩和される。オンラインやOTTへの広告シフトが進む中、放送に課されてきた広告規制を見直し、放送事業者の運用の柔軟性と収益基盤の拡大につなげる狙いがある。
放送メディア通信委員会は12日、全体会議でこうした内容を盛り込んだ「放送法施行令の一部改正令案」を議決した。今後、法制審査や次官会議、閣議などを経て9月上旬に公布し、1カ月後の10月に施行する予定だ。
改正案では、これまで番組ごとに適用していた広告時間の上限規制を廃止する。代わって、チャンネルごとの1日当たり広告総量を、現行の1日放送時間平均17%から20%に引き上げる。放送局は広告需要の高い番組に、従来より柔軟に広告を配分できるようになる。
一方、特定時間帯への広告集中を防ぐため、平日は午後7時〜11時、土日祝日は午後6時〜11時の主要視聴時間帯について、別枠で20%の上限を設ける。
中間広告の規制も緩める。中間広告を初めて挿入できる番組の長さは、現行の45分から30分に短縮する。45〜60分の番組では挿入回数の上限を1回から2回に、60〜90分の番組では2回から3回に増やすなど、番組の長さに応じた上限も引き上げる。
バーチャル広告と間接広告の規制も見直す。バーチャル広告の許容ジャンルは教養番組まで広げ、バーチャル広告と間接広告が画面に占める面積の上限も、現行の4分の1以下から3分の1以下に緩和する。
字幕広告とデータ放送チャンネルの広告サイズも、画面の4分の1以下から3分の1以下へ広げる。中間広告開始前の告知字幕の表示義務は維持する一方、現在32分の1以上と定めているサイズ規制は撤廃する。
今回の見直しは、メディア利用と広告市場の中心がオンラインやOTTなどのデジタル媒体へ急速に移る中、放送広告市場の縮小が続いていることを受けたものだ。放送業界では、同じ広告市場で競争しているにもかかわらず、放送に相対的に厳しい規制が課され、デジタル媒体に比べて競争条件が不利だとの指摘が続いていた。
放送メディア通信委員会によると、地上波の放送広告売上高は2015年の約1兆9000億ウォンから、2024年には約8000億ウォンへと56%減少した。
同委員会は、規制緩和によって放送局が広告需要により柔軟に対応できるようになるとみている。特に、広告効果と売上寄与の高い中間広告の規制緩和により、放送広告売上高は約500億ウォン増えると推計した。
意見募集の過程では、緩和の水準を巡って放送業界と市民団体の意見が分かれた。放送協会、放送チャンネル振興協会、SBSなどは、主要視聴時間帯の別枠規制を設けない完全な1日総量制の導入と、中間広告の追加緩和を求めた。
これに対し、一部の市民・消費者団体は、特定時間帯への広告集中や中間広告の増加によって視聴権が損なわれる恐れがあるとして懸念を示した。
同委員会は、広告編成の柔軟性を高めつつ、広告の偏在や視聴権侵害の可能性も考慮し、主要視聴時間帯の別枠規制など立法予告案の骨格を維持した。施行後は、広告編成と視聴者への影響に関するモニタリングも強化する方針だ。
キム・ジョンチョル委員長は「今回の規制改善により、メディア環境の変化に伴う媒体間の非対称規制を緩和し、放送市場の活力を高められると期待する」と述べ、放送局に対してはコンテンツ品質の向上と視聴権保護への取り組みも求めた。
有料放送業界も、規制緩和の方向性自体は前向きに受け止めている。放送広告市場の縮小と広告収益の減少が、事業者の経営だけでなくコンテンツ投資や産業エコシステム全体の負担になっているとして、広告運用の裁量を広げる措置は必要だとの見方だ。
業界関係者は「放送広告市場の継続的な縮小と広告収益の減少が、コンテンツ投資や産業エコシステム全体の負担につながる中で、広告運用の裁量を広げる今回の制度改善は歓迎すべきだ」と話した。
ただ、業界では今回の緩和だけで減少した広告費が再び放送市場に戻るとみる向きは少ない。広告市場の中心はすでにYouTubeやオンライン、OTTなどのデジタル媒体へ移っており、広告主も到達率や広告効果などを総合的に見て媒体を選んでいるためだ。
前出の関係者は「放送広告規制を一部緩和しただけで、広告財源が再び放送市場に戻ると期待するのには限界がある」とした上で、「個別規制の緩和にとどまらず、放送広告がオンラインやOTTなどのデジタル媒体と同等の条件で競争できるよう、媒体間の規制の公平性を確保する方向で制度改善を続ける必要がある」と強調した。
放送メディア通信委員会も、今回の施行令改正を放送広告規制見直しの最終段階ではなく出発点と位置付けている。全体会議では一部委員から、完全な1日総量制の導入や中間広告、協賛規制の追加緩和など、さらに踏み込んだ制度改編を求める声も上がった。
キム委員長は今回の改正について「きょうの施行令改正は放送広告改革の終着点ではなく、古い規制の枠を破って活力を吹き込む第一歩であり、呼び水だ」と述べた。その上で「下半期には立法事項も含め、放送広告エコシステム全体を対象とした抜本的な規制改革案を用意してほしい」とした。