SpaceXは、ベトナムのVingroup系宇宙企業VinSpaceの初号衛星を2027年第2四半期に打ち上げる契約を受注した。これを受けて同社株は10日、138.74ドルで取引を終え、6月に決まった公開価格の135ドルを再び上回った。
Cryptopolitanが11日報じたところによると、打ち上げはSpaceXの相乗り打ち上げプログラム「Transporter」を通じて実施する。
今回の契約は、SpaceXがベトナムの宇宙開発計画に関与を強める動きとして注目される。ベトナム共産党指導部は2024年、宇宙技術を国家戦略の重点分野に初めて位置付けた。
ベトナムは2008年にVinasat-1を打ち上げた実績を持つ。今回は、民間企業が自社開発した衛星を民間の打ち上げサービスで軌道に投入する案件となる。
株式市場も好感した。SpaceX株は10日の取引で前日比4.2%高の138.74ドルで終了した。
これにより、6月12日に135ドルで決まった公開価格を再び上回った。上場初日は150ドルで始まり、6月16日には取引時間中に225.64ドルまで上昇したが、8月初旬には105ドル前後まで下落していた。
7日には1日で約16%上昇しており、足元では持ち直しの動きが続いていた。
株価が不安定に推移していた背景には、業績そのものよりも投資負担の大きさがあった。第2四半期の売上高は、Starlinkの有料契約者数が1200万人を超えるなど事業拡大が寄与し、78億ドルと前年同期比92%増だった。
一方で、同四半期のAI関連設備投資は184億ドルに達し、純損失は5億4100万ドルとなった。イーロン・マスクは4日の決算発表で、同社は大規模なAI計算基盤を誰よりも速く構築していると述べた。
SpaceXとTeslaは6日、テキサス州グライムズ郡で「Terrafab」と呼ぶ168億ドル規模の半導体複合団地計画も公表した。投資額は段階的に最大1190億ドルまで膨らむ可能性がある。
巨額のAI投資を懸念して売る投資家がいる一方で、これを成長ドライバーとみる向きもある。Argus Researchはその後、SpaceXの投資判断を「買い」に引き上げ、目標株価を160ドルとした。
ベトナム側も、今回の打ち上げを技術実証から実運用への転換点と位置付けている。VinSpaceのブー・チョン・トゥーCEOは声明で、国内開発した衛星モジュールを軌道に投入することは、研究段階から実任務への移行を意味すると述べた。
そのうえで、SpaceXとの契約はベトナムを世界の宇宙バリューチェーンにつなぐ長期計画の一環だと説明した。
VinSpaceは昨年11月にVingroupが設立した、ベトナム唯一の民間宇宙企業。初期投資額は3000億ベトナムドン、約1150万ドルとしている。
登記資料によると、Vingroup創業者でベトナム最大の富豪とされるファム・ニャット・ブオンが株式の71%を保有する。VinSpaceは衛星の製造から軌道投入後の運用までを自社で手がける計画だ。
今回の契約は、ベトナムとSpaceXの協力が衛星インターネットから打ち上げサービスへ広がっていることを示す動きでもある。ベトナムは4月、SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」に対し、国内初となる大規模接続試験のライセンスを付与した。
SpaceXはベトナムで、通信と宇宙打ち上げの両事業を並行して拡大する構えだ。