「スケーリングの時代」邦訳版の書影

出版社のInsightは、AI開発の最前線に立つ研究者や起業家へのインタビューをまとめた書籍「スケーリングの時代」の邦訳版を発売した。大規模言語モデル(LLM)の仕組みからAGI、超知能の影響まで、AIを巡る主要論点を幅広く取り上げている。

Insightによると、著者のドワルケシュ・パテル氏は、AnthropicのCEOであるダリオ・アモデイ氏、DeepMind共同創業者のデミス・ハサビス氏、OpenAI共同創業者のイリヤ・スツケバー氏、MIRI共同創業者のエリエザー・ユドコウスキー氏、MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏ら、AI分野の研究者や創業者を取材した。本書は、そうしたインタビューを通じて、現代AIの全体像を立体的に描き出すとしている。

扱うテーマは幅広い。LLMの技術的な仕組みから、AIが世界を左右する可能性、爆発的な経済成長の可能性までを射程に収める。スケーリングの力、アライメントの失敗リスク、AGIの実現に必要な巨額の投入、超知能が経済や社会にもたらす波及効果など、当事者が重視する論点を掘り下げた。

パテル氏はポッドキャスト番組「Dwarkesh Podcast」のホストとしても活動しており、あまり知られていない専門家から著名人まで幅広く招き、深いインタビューを重ねてきたという。

本書でアモデイ氏は、AIについて「実のところ、私たちもまだ分かっていない。ほとんど偶然見つかった経験的な事実に近い。データから観測できる現象ではあるが、満足のいく説明はまだ得られていない」と語った。

ハサビス氏は「スケーリングは、できるところまで押し進めるべきだ。限界があるかどうかは、実際にやってみなければ分からない。誰にも分からない。その間も、さらなる革新に取り組む必要がある。私たちの努力のうち、スケーリングに関わるものは半分にすぎず、残り半分は次に必要となるアーキテクチャやアルゴリズムへの投資に向けるべきだ。より大規模なモデルは今後も登場する。私なら、その両方が必要だという見方に賭ける」と述べた。

スツケバー氏は「AGIの後、自分が何をし、他の人が何をするのかというのは非常に難しい問いだ。人はどこに意味を見いだすのか。だがそれは、AIが助けになれる問いでもある。私たちはAGIと相互作用することで、より賢くなれるかもしれない。AIは、私たちが世界をより正確に見て、内面をより良い方向へ導く助けになるだろう。歴史上最高の瞑想の師と対話するところを想像してほしい」と語っている。

Insightによると、本書はAI技術を理解するための入門書としても読めるという。170以上の用語解説に加え、登場人物が触れた技術的論点の解説、他の著者による古典的エッセイ、Open Philanthropyの研究アナリストであるアジャヤ・コトラ氏とAnthropic共同創業者のジャレッド・キャプラン氏への未公開インタビューも収録した。

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