Microsoft(写真=Shutterstock)

Microsoftが、自社設計の次世代AIチップの増産に向けて動いている。米The Informationは8月10日(現地時間)、事情に詳しい関係者2人の話として、同社がTSMCと「Maia 300」の生産能力確保を協議し、大口顧客の開拓を進めていると伝えた。

報道によると、Microsoftは自社AIチップ「Maia 200」の導入が広がらない中でも、新型の「Maia 300」を今秋にも、早ければ来月に公開する計画だ。TSMCとの協議を通じ、2027年に30万個超の生産能力確保を目指しているという。これは、これまでのMaia 200の生産規模である数万個を大きく上回る水準となる。

The Informationによれば、Microsoftは最終的に100万個超の生産能力確保を視野に入れている。ただ、部品供給やTSMCとの交渉が制約要因になる可能性があるとしている。

Maia事業の立ち上げは、サティア・ナデラCEOが重視するNVIDIA依存の低減に向けた中核施策の一つとされる。Maia 200は昨年の初期テストで社内目標を下回り、市場投入が遅れた。その後も利用は限定的にとどまっている。

ナデラCEOは6月、Maia 200をデータセンター2拠点で稼働させており、今後は海外拠点にも展開する方針だと明らかにした。一方でThe Informationは、先月末時点でもMaiaチップの稼働は米国内のデータセンター2拠点に限られていたと報じた。

Microsoftは自社AIチップの商用展開で、GoogleやAmazonに後れを取っている。GoogleとAmazonはそれぞれTPUとTrainiumを大口顧客に提供しており、GoogleはGoogle Cloud以外の顧客向けにもTPUの提供を始めている。これに対しMicrosoftは、OpenAIのモデルやCopilot向けの自社「MAI」モデルにMaiaチップを使ってきたものの、多くのソフトウェアは依然としてNVIDIA製チップに依存しているという。

Microsoftは、コスト優位性を武器にAnthropicなどへMaia 300の提供先を広げたい考えだ。The Informationはこれに先立ち、Anthropicが数カ月にわたりMicrosoftとMaiaチップの利用について協議してきたと報じていた。

仮に大口顧客を確保できない場合でも、Microsoftは自社のAIワークロードをMaiaへ振り向ける方針だ。先月には、Maia 200によるモデル実行コストが最新のNVIDIA製チップより30〜40%低いと公表している。

もっとも、Microsoftが目標とするMaia 300の生産規模は、GoogleやAmazonと比べるとなお差がある。Morgan Stanleyの推計では、GoogleはTPUを2026年に300万個超、2027年に500万個生産する見通しだ。

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