中国政府は、レベル3・4の高度自動運転システムを対象とする国家安全基準を定め、2027年7月1日に施行する。自動運転の技術開発競争が激化する中、商用化を見据えた安全管理の枠組み整備を本格化させる。
6日付(報道)のCleanTechnicaによると、中国工業情報化部は、レベル3・4の自動運転システムに適用する新たな安全基準を公表した。対象はM区分の乗用車・乗合車とN区分の商用車で、自動駐車機能は今回の適用対象から外した。
今回の基準で焦点となるのは、自動運転の性能要件そのものよりも、自動車メーカーの安全責任を製品ライフサイクル全体に広げた点だ。中国政府は、開発段階から販売後まで一貫した安全確保体制の構築を求めている。
メーカーには、シミュレーション、閉鎖環境での試験、実道路でのテストなど、開発過程の各段階で必要な検証を実施することが求められる。単に走行性能を満たすだけでなく、多様な状況下で安全かつ安定して機能することを確認する一連の手順を義務付ける内容となっている。
人と自動運転システムの役割分担も明確にした。新基準では、車両が走行に必要な動的運転タスクを遂行できる能力を求める一方、運転者とシステムの相互作用の流れや、利用者への案内要件も具体的に定めた。
特にレベル3では、特定条件下でシステムが運転を担う一方、必要時には運転者が速やかに操作を引き継げることが前提となる。このため車両には、運転者が介入可能な状態にあるかを確認し、適切なタイミングで運転の引き継ぎを求める機能が必要になる。
中国政府は今回の基準を通じて、自動運転車の市場参入管理も強化する方針だ。工業情報化部は、インテリジェントコネクテッドカーの市場参入手続きの改善に加え、自動運転システムの試験方法や評価体系を継続的に整備していくとしている。
中国はこれまで、電気自動車と自動運転分野で商用化を急速に進めてきた。主要EVメーカーは、都市部での運転支援機能や高速道路向け自動運転機能の拡充を競っており、一部企業は限定条件下でレベル3相当のサービス投入を準備している。
一方で、普及が進むにつれて安全性をどう担保するかが大きな課題として浮上している。自動運転システムによって運転者の関与が減るほど、事故時の責任範囲やシステム検証基準の重要性は増すためだ。
施行まで一定の準備期間が設けられているため、業界への影響は直ちに大きく広がるとはみられていない。ただ、自動車メーカーや自動運転関連企業には、開発プロセスの見直しにとどまらず、利用者教育、運転者監視、安全データ管理体制まで幅広い対応が求められる。
自動駐車機能を対象外とした点からは、中国政府がまず実道路での走行時に生じるリスク管理を優先していることもうかがえる。レベル3・4では限定条件下で車両が運転を担うが、想定外の事態では依然として人の介入が必要になるためだ。
今後の中国の自動運転市場では、技術性能に加え、安全検証能力も競争力を左右する要素になりそうだ。政府が国家基準を起点に試験方式や市場参入要件の見直しを続ければ、自動運転各社の事業戦略にも影響が広がる可能性がある。