韓国政府は、国家研究開発における人工知能(AI)活用の倫理指針をまとめた。AIはあくまで研究を支援するツールと位置付け、最終的な研究成果の責任と権利は研究者が負うことを基本原則として明示した。
科学技術情報通信部は20日、国家科学技術諮問会議の運営委員会での審議・議決を経て、「国家研究開発AI研究倫理ガイドライン」を確定したと発表した。
AIの活用は研究の全工程に広がっており、生産性向上が期待される一方で、不正確な情報の生成、バイアスの再生産、情報セキュリティや個人情報の流出、出典の不明確さといった新たな研究倫理上の課題も指摘されている。今回のガイドラインは、国家研究開発におけるAIの役割を研究ツールに限定し、成果物に関する責任と権利はAIを利用した研究者に帰属すると定めた。
研究者が遵守すべき事項としては、(1)事実関係の検証(2)主体的な判断(3)透明性の確保(4)成果の信頼性管理(5)政策・規定の順守(6)セキュリティ確保(7)個人情報保護――の7項目を示した。
ガイドラインでは、研究者がAI生成物に誤りや重要資料の欠落がないかを自ら確認し、出典の明示の有無や情報の信頼性も検証するよう求めている。AIが生成した資料を使う場合も、専門知識と論理的妥当性に基づいて内容を吟味し、自らの観点を反映して再構成しなければならないとした。
また、研究にAIを用いた場合は、使用したモデルやバージョン、利用目的、活用範囲などの開示を求める。AIを活用した研究成果についても、成果に至る過程を論理的に説明できることが必要だとしている。
研究開発機関には、AI活用に対応した情報セキュリティ環境の整備を求めた。研究者は、所属機関が認めた環境とツールを使用し、個人情報を含む資料を外部のAIサービスに入力しないよう注意する必要がある。
国家研究開発課題の評価や論文審査に関する運用基準も盛り込んだ。評価者は、評価対象となる資料を外部AIサービスに入力せず、自ら評価しなければならない。評価を受ける側については、隠しプロンプトなどを使って審査基準を回避したり、評価結果をゆがめたりする行為を禁じた。
科学技術情報通信部は今後、ガイドラインと解説書を各研究開発機関に配布し、現場の意見を踏まえながら継続的に内容を補完していく方針だ。あわせて、研究者がAI活用の水準を点検できる「研究者自己診断票」と、研究開発課題の報告書提出などに使える「AI活用有無の公開様式」も提供する。
ホン・スンジョン成果評価政策局長は「今回のガイドラインが、研究現場に責任あるAI活用の文化を根付かせ、国家研究開発における研究の真正性を確保する契機になることを期待する」と述べた。