Naver Cloudは18日、軍がデータやAIモデル、プラットフォームの統制権を直接持つ「ソブリンAI」を軸に、国防分野のAIトランスフォーメーション(AX)市場へ本格参入する方針を示した。インフラからモデル、データ基盤、アプリケーションまでを一体で提供するフルスタック戦略を打ち出し、現場配備エンジニア(FDE)が閉域網内で実データに基づく継続的な改良を担う体制を整える。
キム・ユウォンNaver Cloud代表は18日、ソウルの新羅ホテルで開かれた「国防AI戦略セミナー(Defense AI Day)」で、「国防AIは単なる技術導入で終わってはならない。軍が必要な課題を定義し、現場で検証し、戦力化までつなげる必要がある」と述べた。その上で、軍、防衛産業企業、スタートアップ、研究機関の能力を結ぶ中核パートナーを目指す考えを示した。
Naver Cloudが示した国防AX向けフルスタックは、インフラ、AIモデル、データファブリック、アプリケーション、FDEの5層で構成する。モデル開発からデータ連携、任務環境への適用、現場での改善までを一つの枠組みとして提供する考えだ。
ユ・ギョンボムNaver Cloud国防事業総括専務は、「国防におけるソブリンは選択肢ではなく、生存条件だ」と強調した。軍がデータ、AIモデル、プラットフォームに対する統制権を直接持つ必要があるとの認識を示した。
同社はまず、公開データや非機密データを活用してAIモデルと開発ツールを整備し、その後FDEとともに閉域網環境へ持ち込み、軍の実データに基づいて性能を高める計画だ。単発の構築にとどまらず、軍と民間が現場で共同して性能改善を続ける長期協業モデルを志向する。
◆ワールドモデルで自律兵器システムを高度化
ソン・ナクホNaver Cloud AI技術総括専務は、自律兵器システムの高度化に向けた中核技術として、空間知能とワールドモデルを挙げた。ドローンや各種センサーが収集した情報を一つの戦場状況として把握し、複数のAIが連携して動作する「知能ネットワーク」を構築するという。
同社は、ドローン映像を基に実空間を3次元で再構成し、複数センサーの情報を統合する技術を開発している。ドローンをAIで直接制御する技術についても、社内で実証を進めているとした。
ワールドモデルは、地形や気象、レーダーなど戦場の各種変数を反映し、特定の行動がどのような結果につながるかをシミュレーションする用途を想定する。
ソン専務は「ワールドモデルは、ある行動を取った際にどのような結果が生じるかをシミュレーションするためのものだ」と述べ、「予測できれば進化も可能になる」と語った。
◆データファブリックとオントロジーで戦場情報を接続
データ領域では、データファブリックとオントロジーを通じて、各軍や各システムに分散する戦場情報を接続し、構造化する。
イ・ソウンNaver Cloud理事は、「国防AIの成否を左右するのは、AI技術を適用する前段階にある国防データの接続と構造化だ」と述べた。
データファブリックでは、ドローン、衛星、レーダー、監視資産など異なるシステムのデータを、既存システムを変更せずに連携させる。データを別のストレージへ移さず、元の場所に置いたまま必要な情報へアクセスする仮想化方式を採用し、既存のネットワーク分離やセキュリティ方針を維持できるとしている。
これに、部隊、戦力、資産、教範などの関係をあらかじめ構造化した「韓国型の標準オントロジー」を組み合わせる。標的を識別した際に、周辺戦力や地形、気象、過去の行動、関連教理などを合わせて分析し、現在の作戦上の意味を把握する仕組みだという。
その上で、複数の対応策やリスク要因、交戦規則(ROE)、判断根拠などを提示し、指揮官の意思決定を支援する。最終判断と命令は指揮官が担うとしている。
Naver Cloudは、データファブリックとオントロジーを国防AIプラットフォームの中核機能として提供し、映像分析や音声認識、特化型推論など外部企業のAIソリューションとも連携させる方針だ。
◆閉域網対応クラウドで中央と戦場をつなぐ
インフラ面では、外部と分離された軍の環境でもAIを運用できるよう、中央と作戦拠点、前方の現場を結ぶ国防特化クラウドを構築する。
パク・ジョンゴンNaver Cloud理事は、国防特化クラウドを中央統合型、任務拠点型、現場運用型の3つに区分して説明した。中央では大規模GPUを用いてモデルを学習、評価し、各軍や作戦拠点、前方の現場では必要なAIを運用する想定だという。
通信が途絶した場合でも、承認済みのAIとローカルデータを使って任務を継続できるようにする。接続が復旧すれば、現場で蓄積したデータやログを中央と再連携し、改良したモデルは軍の検証と承認を経て再配布する。
パク理事は、「重要なのは誰が運用するかではなく、誰が最終決定権を持つかだ」と述べた上で、「運用を分担しても、任務やデータ方針に対する最終的な統制権は軍にあるべきだ」と語った。