AI投資の拡大が続く一方、ROIの確保が課題となっている 写真=Shutterstock

AI投資が急拡大する一方で、企業の多くは投資対効果(ROI)の確保に苦戦している。米ITメディアのTechRadarが6日(現地時間)に報じたところによると、2026年の世界のAI支出は前年比47%増の2兆5900億ドル(約389兆円)に達する見通しだ。ただ、ROIを定量的に把握できているAIプロジェクトは28%にとどまる。背景には、AI導入を急ぐ一方で、既存の技術環境、とりわけデータの保存・管理を担うストレージ基盤への理解や準備が追いついていない実態がある。

AIはしばしば演算性能やGPU、処理速度の問題として語られるが、本質的にはデータ集約型のシステムだ。実証実験の段階を越えて本格展開が進むほど、データの収集、保存、アクセス、管理の重要性は一段と高まる。ストレージ基盤は周辺領域ではなく、AI活用の成果を左右する中核インフラとして捉える必要がある。

従来のデータ保管は、比較的予測しやすく、一度構築した基盤を大きく見直さずに運用できるケースも少なくなかった。しかしAI時代は事情が異なる。Internet Data Center(IDC)によると、世界の年間データ生成量は今後5年間で3倍超に増え、2030年には718ZB(ゼタバイト)に達する見込みだ。AIワークロードは、ログ、メタデータ、生成データ、モデル更新、学習用データセットなど、新たなデータを継続的に生み出す。ストレージ基盤が不足していたり、AI処理に適した構成になっていなかったりすれば、GPUなど高価な計算資源が遊休化し、結果としてAI投資のROIを押し下げかねない。

その対策の一つとして挙げられるのが、階層型ストレージの活用だ。すべてのデータに同じ性能やコストをかける必要はない。モデル学習や推論で頻繁に利用するデータは高性能ストレージに置き、過去データやアーカイブ用データ、規制対応で保管が求められる記録は低コストの保存層に移す。データの価値や利用頻度に応じて保存先を最適化すれば、AI開発やガバナンス、将来のモデル開発に必要なアクセス性を維持しながら、インフラコストを抑えられる。

規制対応とコンプライアンスも、AI計画の初期段階から織り込む必要がある。各国の個人情報保護規制に加え、データの利用方法やアクセス権限、海外顧客を持つ企業に求められるデータガバナンスや透明性、記録保管義務などが代表例だ。学習データやモデル関連記録の保管期間は想定以上に長期化する可能性があり、長期保存を前提とした設計が重要になる。後付けで対応すると、コスト増や運用の複雑化を招く恐れがある。

AIのROIは、アルゴリズムやアプリケーションだけで決まるものではない。大規模データをいかに効率よく保存・管理し、規制に沿って適切に扱えるかが成果を左右する。ペタバイト(PB)やエクサバイト(EB)規模の環境では、テラバイト(TB)当たりのコスト差も大きな財務負担になり得る。企業はGPU投資とあわせて必要な保存容量を見積もり、AI事業計画の段階からデータインフラ戦略を組み込む必要がある。

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