Suiブロックチェーンの開発元であるMysten Labsの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)を務めていたサム・ブラックシア氏が同社を退社し、Anthropicに加わる。今後は防衛・セキュリティ研究に従事するという。
Cointelegraphが8月6日(現地時間)に報じた。ブラックシア氏は退社の理由について、防衛・セキュリティ分野の研究に取り組むためだと明らかにした。
今回の動きは、Suiエコシステムの中核を担ってきた技術人材が、人工知能(AI)セキュリティ分野へ軸足を移す事例として注目を集めそうだ。ブラックシア氏によると、今後のMysten Labsの技術ビジョンは、共同創業者で最高経営責任者(CEO)のエバン・チェン氏が担う。
ブラックシア氏は決断の背景として、実践的な技術研究に携われることと、新たな課題領域に取り組めることを挙げた。「キャリアを振り返ると、新しい問題領域を探りながら、自ら手を動かして技術的な仕事をしている時が最も充実していた。今回の役割は、その両方を実現できる機会だ」と説明した。
あわせて、AIの普及がセキュリティ環境を大きく変えつつあるとの認識も示した。「攻撃側と防御側の力関係が変わる局面にあり、それがセキュリティ分野で働く動機になった」と語っている。
背景には、AIがソフトウェアの脆弱性探索やフィッシング攻撃の自動化、ブロックチェーンインフラに対する攻撃の高速化などに活用され始めている流れがある。Mysten Labsの技術トップが暗号資産インフラ開発から離れ、AIを軸とした防衛・セキュリティ研究へ進む判断も、こうした潮流と重なる。
一方でブラックシア氏は、Mysten LabsやSuiエコシステムとの関係を完全に断つわけではないとしている。今後もMysten Labsに近い立場で助言を続けるほか、SuiエコシステムやMove財団の活動にも関与を続けたい考えを示した。
Mysten Labsは2021年9月、ブラックシア氏とMeta出身の元幹部4人らが共同で設立した。Suiブロックチェーンの開発企業として知られる。今回の人事を受け、同社はエバン・チェン氏を中心とする経営・技術体制へ再編が進むことになる。
今後の焦点は二つある。第一に、エバン・チェン氏が技術ビジョンを直接担う体制の下で、Mysten LabsとSuiエコシステムの開発方針がどう整理されるか。第二に、ブラックシア氏がAnthropicで手掛ける防衛・セキュリティ研究が、AIとブロックチェーンインフラを巡るセキュリティ競争にどのような影響を及ぼすかだ。