Megapack 3は容量拡大に加え、設置工程の簡素化も打ち出した。写真=Tesla

Teslaは、系統用エネルギー貯蔵システム(ESS)の新製品「Megapack 3」の量産を開始した。生産は米テキサス州ブルックシャーの新設工場で行い、年産50GWh規模の供給体制を目指す。容量拡大と設置工程の簡素化を通じ、拡大が続く世界のESS市場で競争力を高める狙いだ。

米電気自動車メディアのElectrekが8月6日(現地時間)に報じたところによると、Megapack 3の初回生産分は、ブルックシャーのメガファクトリーで製造している。

同工場は着工から約16カ月で稼働を開始した。Megapack 3の専用生産拠点として設計されており、Teslaは年産50GWhに対応できる体制を想定している。2025年9月にMegapack 3とあわせて公開した大型ESSプラットフォーム「Megablock」も同工場で生産する予定だ。

Megapack 3の最大の特徴は蓄電容量の拡大にある。1台当たりの蓄電容量は約5MWhで、従来の「Megapack 2 XL」(3.9MWh)に比べて約28%増えた。設置面積を増やさず、より多くの電力を蓄えられる点を訴求する。

Teslaによると、Megapack 3では2.8リットル級のセルを採用し、キャビネットを大幅に大型化することなく内部のエネルギー密度を高めた。系統用の大規模蓄電設備では用地利用の効率が採算性に直結するため、同じスペースで蓄電容量を増やせる点は競争力につながる。

熱管理システムも見直した。前世代比で熱管理系の接続部を約78%削減し、液冷式電池で課題となる漏れや故障のリスクを抑える。あわせて、生産工程や保守作業の簡素化にもつなげる考えだ。

系統用ESSでは、長期にわたる安定運用に加え、短期間での導入も重視される。このためTeslaは、ハードウェア性能だけでなく、導入プロセス全体の効率化にも重点を置いた。

その一環として投入するMegablockは、Megapack 3を最大4台束ね、変圧器やスイッチギアを工場であらかじめ統合した製品だ。従来は現地で行っていた中電圧の配線作業を減らし、設置期間の短縮を図る。

TeslaはMegablockの活用により、1エーカー当たり最大248MWhの蓄電容量を確保できるとしている。1GWh規模のESS設備も20営業日以内に構築でき、従来方式に比べて設置速度を約23%高められるという。

TeslaのESS事業は拡大が続いている。Megapackは2019年に約3MWh級の製品として立ち上がり、2022年にはMegapack 2 XLで3.9MWhに拡大した。Megapack 3は、その世代交代の中でも最も大きい容量増を実現したとしている。

ブルックシャー工場の新設は、激化する世界競争への対応という側面もある。Teslaはこれまで、米カリフォルニア州ラスロップのメガファクトリーと中国・上海の工場でESSを生産してきたが、新たな拠点を加えることで供給能力を拡充する方針だ。CATL、Fluence、BYDとの競争が強まる中、ブルックシャー工場はTeslaの主要なエネルギー貯蔵生産拠点となる可能性がある。

需要面では追い風もある。Teslaは最近、欧州のエネルギー企業NatPowerと、50億ドル(約7500億円)規模、25GWh分のMegapack供給契約を結んだ。AIデータセンターの拡大で電力需要が急増しており、ESSの確保競争も強まっている。

一方で、生産拡大局面ではサプライチェーンがなお課題として残る。Megapack 3には大型のLFP電池セルの安定調達が欠かせない。Teslaはこれまで、米国内で輸入LFPセルにかかる関税の影響により、エネルギー事業の収益性が低下したと説明したことがある。

ブルックシャー工場の成否は、生産能力の確保だけでなく、セル調達とコスト管理にも左右される。Megapack 3を軸に、Teslaが電気自動車メーカーの枠を超え、グローバルなエネルギーインフラ企業としての地位を強化できるかが注目される。

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