アンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事は6日、米議会に対し、暗号資産規制法案「Clarity法」の早期成立を求めた。公職者に関する倫理条項で与野党の対立が続くなか、米国の規制整備が遅れているとし、業界が競争する前提としてルールを明確にすべきだと訴えた。
ブロックチェーン関連メディアのBitcoin Magazineによると、クオモ氏は、倫理条項を巡る与野党対立が法整備の遅れにつながっていると指摘した。
クオモ氏は暗号資産取引所OKXの取締役も務める。CNBCのインタビューではClarity法について「われわれには明確性が必要だ」と述べ、「何がルールで、どこまでが許容範囲なのかを示してほしい。公正に競争したいが、その前提となる基準が必要だ」と語った。法案の狙いは、業界全体に適用される規制基準を明文化することにあるとの認識を示した。
Clarity法は、米国の暗号資産規制の枠組みを法律として明確化する内容を盛り込む。議会内では8月の休会前に成立させるべきだとの声があるが、なお争点は残る。法案は昨年、下院を通過したものの、最終成立には至っていない。
最大の障害として浮上しているのが倫理条項だ。クオモ氏は、民主党と共和党が主にこの部分で対立していると説明した。民主党は、トランプ一族の暗号資産関連収益を選挙戦の争点として継続的に追及する構えで、倫理問題が繰り返し焦点になっているとも述べた。
実際、最近出回った新たな草案には、公職者が暗号資産を宣伝したり、暗号資産を通じて収益を得たりする行為を禁じる内容が盛り込まれた。トランプ大統領の家族がミームコインやDeFiプロトコル「World Liberty Financial(WLFI)」を通じて収益を得たことを巡り、一部の民主党議員は利益相反の可能性を指摘してきた。一方、ホワイトハウスは利益相反には当たらないとの立場を維持している。
法案文言の調整も続いている。超党派でまとめられた新たな修正文案では倫理条項に見直しが加えられたとされ、ホワイトハウスは今週、その内容を検討している。休会前に法案を成立させられるかどうかは、倫理条項をどこまで調整できるかに左右される可能性が高い。
クオモ氏は、倫理問題が政争に傾き過ぎることにも警戒感を示した。「利益相反を言うなら、内部情報を持ったまま株を買う民主党関係者にも注意を向けるべきだ」と述べ、特定陣営だけを標的にした議論に映れば、法案成立への勢いが弱まりかねないとの見方を示した。
その上で、規制の遅れは米市場の競争力低下にもつながっていると主張した。「世界は再び米国を追い越しつつある」と述べ、OKXが欧州で急速に事業を拡大している背景には、規制整備の進展と技術革新があると強調した。さらに「規制が整い、イノベーションが認められれば市場は急成長する。そうした動きは世界各地で起きているが、米国ではClarity法が止まっているため実現できていない」と語った。
Clarity法を巡る議論は、単なる産業規制の整備にとどまらず、米政界の倫理基準と暗号資産産業の育成方針が交錯する論点となっている。議会が8月休会前に妥協案をまとめられるか、またホワイトハウスが修正後の倫理条項をどう判断するかが今後の焦点となる。