米下院司法委員会の共和党議員が、韓国で施行された偽情報規制を巡り、表現の自由を侵害しかねないとして韓国の放送通信委員会に懸念を伝え、運用方針の説明を求めた。対象となったのは、いわゆる「フェイクニュース法」とも呼ばれる情報通信網法の改正だ。
CNBCが6日に報じたところによると、ジム・ジョーダン下院司法委員長ら共和党議員は同日、韓国の放送通信委員会に書簡を送付し、同法の執行方針について説明を求めた。
問題となっている情報通信網法改正は、昨年12月に国会で可決・成立し、2026年7月7日に施行された。購読者10万人超の報道機関やコンテンツ事業者が故意に虚偽情報を拡散した場合、政府が過料を科すことができる内容で、制裁額は最大10億ウォン(約1億1000万円)とされる。
共和党議員側は、改正法が偽情報の範囲を明確に定義しておらず、政治的に不利な言論を狙い撃ちする形で運用されかねないと指摘した。書簡では「今回の改正は、オンライン上の言論と表現に対する重大な脅威であり、放送通信委が米企業や利用者による憲法で保障された権利の行使まで処罰対象にしかねない」と主張した。
スコット・フィッツジェラルド議員も別の声明で、「韓国のいわゆる偽情報法は曖昧で、適用範囲が過度に広く、濫用の余地が大きい」と批判した。その上で、「外国政府が米企業に圧力をかけ、憲法が保障する言論を検閲させる権限はない」とし、議会としてこうした動きを引き続き精査する考えを示した。
書簡にはジョーダン委員長のほか、フィッツジェラルド議員、ダレル・アイサ議員、マイケル・バウムガルトナー議員が署名した。議員側は、この改正法がAlphabet傘下のYouTubeを含む米企業を標的にしているとも主張している。
韓国政府はこれまで、改正法について、違法かつ操作された虚偽情報による被害から市民を守るための措置だと説明してきた。放送通信委員長も7月の声明で同様の認識を示している。一方、韓国内ではジャーナリストや市民自由団体を中心に反対の声が続いている。在米韓国大使館は、論評要請に直ちには応じなかった。
今回の書簡は、米韓の通商摩擦が広がる局面で出された。ドナルド・トランプ米大統領は先週、強制労働慣行の疑いを理由に、韓国を含む数十カ国に新たな関税を課した。下院司法委員会は7月、韓国政府が米系電子商取引企業Coupangを差別しているとする報告書も公表している。Coupangは事業の大半をアジアで展開している。
下院司法委員会はジョーダン委員長の下、海外の規制が米国の表現の自由やイノベーションを制約する問題を継続的に取り上げてきた。欧州連合(EU)のデジタルサービス法(DSA)についても複数回にわたり報告書をまとめている。2022年に採択されたこのオンラインコンテンツ規制の枠組みは、GoogleやAnthropicなど米企業への監視強化につながったとされる。
共和党議員側は、韓国の改正法がDSAの流れを踏襲しているとみている。書簡では「韓国はEUの前例に倣い、デジタルサービス法をほぼそのままなぞった立法を導入したように見える」と記した。