資料=Chainalysis

Chainalysisは8月7日、暗号資産保有者を狙う暴力犯罪が増加しているとする報告書「Violence Against Crypto Owners」を公表した。暗号資産を狙った犯罪はハッキングや詐欺といったオンライン中心の手口から、誘拐や住居侵入を伴う現実の脅威へと広がっているという。

報告書によると、2026年上期に世界で暗号資産保有者を標的に発生した暴力犯罪で奪われた資産は、3000万ドルを超えた。こうした傾向が続けば、年間被害額は過去最大だった2025年の5800万ドルを上回る可能性があるとしている。

集計対象は、実際に資産の奪取に成功した事案に限った。送金の強要が未遂に終わったケースや身代金要求、資金凍結を伴う事例まで含めれば、被害の実態はさらに大きい可能性があると指摘した。

同社は、従来はハッキングや詐欺などオンライン上で完結するケースが中心だった暗号資産犯罪が、保有者本人を直接脅して送金を迫る物理的な犯行へと変化している点に注目した。暗号資産は個人が自己管理するケースが多く、犯罪者に新たな標的として狙われていると分析している。

標的の範囲も広がっている。これまでは保有者本人を直接狙う事案が中心だったが、最近は家族や知人を誘拐・脅迫するケースが増えているという。2026年1月時点では、家族・知人を対象にした事件が全体の約25〜30%を占めた。フランスでは、この比率が40%を超えたという。住居侵入を伴う事案の比率も、2025年の14%から2026年上期には37%へ上昇しており、犯行手口の変化が急速に進んでいるとした。

Chainalysisは、奪取された暗号資産のオンチェーン上の資金フローを分析し、攻撃者を3つのタイプに分類した。資金移動経路をたどることで、犯行パターンや組織犯罪との関係の有無を見極められるとしている。

Chainalysis Koreaのクォン・ジュニョク支社長は「今回の分析は、暗号資産保有者を狙う犯罪がオンライン空間にとどまらず、現実の安全リスクにまで広がっていることを示している」とコメントした。そのうえで「個人情報の流出と物理的犯罪が結び付くなか、オンチェーン分析と従来の捜査手法を組み合わせた対応の重要性が一段と高まっている」と述べた。

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