リチウム価格はこの1年で大きく持ち直した。写真=Shutterstock

リチウム価格がこの1年で1キログラム当たり8ドル台から22ドル台まで上昇し、約3年続いた二次電池材料価格の下落に歯止めがかかった。廃電池から金属を回収・販売するリサイクル企業では、平均販売単価(ASP)の回復を背景に、10四半期超に及んだ赤字局面からの黒字化期待が高まっている。ただ、下期には中国CATLの新規リチウム鉱山の稼働が見込まれており、価格上昇がどこまで続くかは供給動向に左右されそうだ。

業界によると、ニッケル価格は前年2月の1トン当たり1万5275ドルから今年6月に1万7664ドルへ上昇した。コバルトは2025年9月の1トン当たり3万3406ドルから同時点で5万5854ドルまで上昇し、主要金属の中で上げ幅が最も大きかった。

リチウムも昨年5〜7月に底を打った後、今年1月に16ドル、3月に19ドル、5月に22ドルへと段階的に上昇した。3金属はいずれも、2023年初めから続いていた下落トレンドから脱した。前四半期比でも、リチウムは19.9%、ニッケルは5.0%上昇している。

こうした価格変動は、リサイクル企業の採算に直結する。リサイクル企業は廃電池や工程スクラップを買い取り、リチウム、ニッケル、コバルトを抽出して販売するため、回収金属の市況がそのまま販売価格に反映されやすい。

一方、原価に当たるスクラップの調達単価は、市況変動をやや遅れて反映するケースが多い。このため、金属価格が底打ち後に上昇する局面では、調達価格と販売価格の差が広がりやすい。2023年から2025年上期まで業界の赤字が続いたのは、この構造が逆方向に働いたためとされる。

もっとも、足元の相場には不安定さも残る。リチウム価格は今年5月に1キログラム当たり24.1ドルまで上昇した後、21.6ドルまで下落し、高値から11%下げた。6月のニッケル価格も前月比で6%下落した。

ただ、ハナ証券は、足元のリチウム価格は依然として前四半期末を上回る水準にあり、直近の調整が業績見通しの下方修正につながる段階ではないと分析した。市場では、業績予想の前提となるリチウム価格を10ドル台後半で見込んでおり、2四半期にわたる急騰後の反落は想定を大きく崩す材料ではないとしている。

こうした状況を踏まえ、廃電池リサイクル企業では2026年中に四半期ベースで損益分岐点を超え、黒字転換するとの見方が出ている。ASPの回復に加え、新工場の稼働率上昇によって固定費負担が薄まる局面に入ったためだ。

各社は赤字局面でも増設を続けてきた。このため、稼働率が通常水準まで高まれば、増収分が利益に結び付きやすいとの見方がある。

電池セル大手では、先に収益改善の動きが表れている。LG Energy Solutionは2026年4〜6月期の営業利益が1133億ウォンとなり、2四半期ぶりに黒字転換したと発表した。Samsung SDIも営業利益2038億ウォンを確保し、7四半期ぶりの黒字となった。

両社は黒字要因として、電力向けエネルギー貯蔵装置(ESS)や無停電電源装置(UPS)、バッテリーバックアップユニット(BBU)など、AIデータセンター関連需要の拡大を挙げた。稼働率も改善している。Samsung SDIは、電動工具向け高出力電池の販売増と新製品投入が重なり稼働率が上昇したと説明した。LG Energy Solutionも、欧州での稼働率改善を4〜6月期の収益改善要因として示した。

セル生産の増加は、リサイクル企業の原料確保にも直結する。業界では、本格的な廃電池の回収がまだ立ち上がっていない現段階では、リサイクル企業が処理する原料の多くをセル製造工程で発生するスクラップが占めるとみられている。

もっとも、原料構成には変化も出ている。LG Energy Solutionは今年、パウチ型のリン酸鉄リチウム(LFP)を中心にESSの生産能力を拡大する方針を示した。Samsung SDIも下期に米国で角形LFPの量産準備を進めるとしている。

LFPはニッケルとコバルトを使わないため、スクラップ量が増えても、回収金属の単価構成が低下する可能性がある。

一方、コバルト価格の上昇は収益を下支えする要因になり得る。コバルトは2025年下期から上昇ペースが加速し、1年足らずで1トン当たり3万ドル台から5万ドル台へ上昇した。背景には、コンゴ民主共和国による輸出クオータ制の導入があるとされる。

コバルトは回収金属の中でも単価が高く、リサイクル企業の売上に占める比率も大きい。このため、リチウムが調整局面に入っても、コバルト価格が全体のマージンを支える構図となっている。

政策面でも、再生原料の活用を後押しする動きが出ている。気候エネルギー環境部は、SungEel HiTech、EcoPro CNG、POSCO HY Clean Metalなど廃電池リサイクル企業6社とともに、「電池再生原料生産認証制度」の実証事業に着手した。

2027年5月の施行を予定する同制度は、工程ごとの物質フローや量の変化を検証する仕組みの整備を目指すものだ。再生原料の由来が公的に認証されれば、自動車メーカーやセルメーカーの調達要件を満たす根拠になり得る。

今後の見通しを左右する最大の変数は、下期の供給増の有無だ。中国の炭酸リチウム先物価格は、CATLのジェンシャウォ鉱山の再稼働観測を受け、1トン当たり20万元から15万7000元水準へ下落した。ハナ証券は、CATLの新規リチウム鉱山について許認可手続きが完了し、下期中の稼働が見込まれると伝えた。

リサイクル金属は採掘金属と同じ市場で価格が決まる。このため、鉱山の増産はリサイクル企業の販売単価に直接的な下押し圧力となる。増産が計画通り進めば、販売単価の改善幅は縮小し、黒字化の時期も後ろ倒しになる可能性がある。

半面、稼働が遅れれば、調達単価が低かった時期のスクラップを、販売価格が持ち直した局面で処理できる期間が長くなる。業界では、各社が今後の業績計画にリチウム価格の保守的な前提を織り込んでいるとみられている。

キーワード

#リチウム #ニッケル #コバルト #廃電池リサイクル #二次電池 #LFP #CATL #LG Energy Solution #Samsung SDI
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.