テック採用で再び注目を集める「スパイク人材」。写真=Shutterstock

ビッグテックの採用現場で、特定分野に突出した強みを持つ「スパイク人材」への注目が再び高まっている。雇用市場の悪化に加え、AIの普及で職務の境界が曖昧になる中、幅広く無難にこなせる人材よりも、明確な強みで差別化できる人材を評価する動きが強まっている。Business Insiderが4日(現地時間)、報じた。

ここでいう「スパイク」とは、複数分野をそつなくこなすバランス型ではなく、特定領域で際立った能力を持つ人材を指す。採用担当者や技術部門のリーダーが、ポッドキャストやSNSでこの言葉に言及する場面も増えているという。Shopifyのトビ・リュトケ氏やCoinbaseのブライアン・アームストロング氏も、こうした突出した強みの重要性に共感を示している。

この考え方自体は新しいものではない。ベンチャー投資家で作家のリチャード・コック氏は、2005年から「20%スパイク」について論じてきた。

それでも足元で再び注目を集めている背景には、採用環境の変化がある。求人市場が厳しさを増し、AIが業務領域の線引きを曖昧にする中で、応募者には一目で伝わる強みがこれまで以上に求められている。

Metaのマーク・ザッカーバーグCEOも2024年、「一つのことを本当にうまくできる人が欲しい」と語っている。スパイクは、コーディングや文書作成、営業といった実務スキルに限らない。どの分野であれ、深く掘り下げて卓越した水準に到達した経験そのものが重視されるという。

Rampの共同CEO、エリック・グライマン氏は、幼少期にMinecraft関連のサイドビジネスを立ち上げた開発者を採用した事例を紹介した。特定分野への強いこだわりと並外れた推進力を高く評価したという。

こうした採用で重視されるのは、弱点の少なさではなく、強みの鮮明さだ。Andreessen Horowitzの共同創業者、ベン・ホロウィッツ氏は2010年、「弱点のない人を採ろうとすると、結局は無難で良い人に落ち着く」と指摘していた。

HubSpotを率いたブライアン・ハリガン氏も、かつては平均点の高い候補者、つまり弱点の少ない人を選んでいたが、より尖った人材を採るようになってから採用の成功率が上がったと明らかにしている。

この流れは面接手法にも及んでいる。OpenAIの会長ブレット・テイラー氏が共同創業したAI企業Sierraは、AIネイティブの面接ガイドを通じて、弱点の少ない候補者を見極めるのではなく、候補者ごとの強みと弱みをより明確に把握することを重視した。

では、個人は自分のスパイクをどう見つければよいのか。キャリアコーチのカイル・エリオット氏は、人事評価や上司からのフィードバックを確認するよう勧めている。

あわせて、身近な同僚や知人に具体例を聞く「ミニ360度フィードバック」も有効だという。把握した強みは、履歴書や面接で実例として示す必要がある。

リクルーターのマーガレット・ブジ氏は、技術的な専門性、優れた営業実績、創業者のようなオーナーシップをスパイクの例として挙げた。一方で、単なる好みを専門性と取り違えるべきではないと警鐘を鳴らしている。

また、「戦略的」「協調的」「分析的」「成果志向」といったありきたりな形容詞を並べるだけでは不十分だと強調した。スパイクは言葉で主張するものではなく、数値や事例、具体的な成果で示すべきだとしている。

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