Mastercardは、ステーブルコイン決済インフラを手掛けるBorderlessと連携し、ステーブルコインを活用した国際送金の実証に乗り出す。自社の暗号資産向け認証サービス「Crypto Credential」を使い、承認や規制対応、リスク管理に必要な確認情報を提供できるかを検証する。
Cointelegraphが5日に報じた。今回の実証では、国際的なステーブルコイン決済で求められる確認プロセスを標準化し、取引時の摩擦を減らせるかが焦点となる。
狙いは、ブロックチェーン取引の参加者が共通の基準に基づいて取引の信頼性を確認できる仕組みを整えることにある。MastercardはCrypto Credentialを通じ、ブロックチェーン取引に共通する検証基準や保証情報を提供している。
実証では、ステーブルコインによる国際決済の摩擦を抑えるため、ガバナンス面でどのような確認情報が有効かも探る。
Borderlessは、ステーブルコイン決済の普及を妨げる要因の一つに規制対応の難しさを挙げる。共同創業者兼CEOのケビン・レフティニティ氏は、「コルレス銀行はこの問題を何十年も前に解決している」とした上で、「送金時に規制面の確認を一度済ませれば、その後は参加者がそれを信頼し、取引のたびに同じ手続きを繰り返さずに済む」と説明した。
その上で、Mastercardはこうした考え方をデジタル資産決済に適用しようとしていると述べた。
もっとも、Mastercardが資金処理や清算を直接担うわけではない。レフティニティ氏によると、Crypto Credentialはガバナンスと検証のレイヤーを担う一方、Mastercard自体は今回の実証における資金処理や清算業務には関与しない。
このため今回の取り組みは、決済インフラそのものの構築というより、検証体制や規制対応に関する確認情報の標準化の可能性を探る実証の色合いが強い。
今回の実証は、Mastercardが進めるステーブルコイン事業拡大の流れとも重なる。同社は4日、ステーブルコインインフラ企業BVNKを18億ドル(約2700億円)で買収する手続きを完了した。
さらに6月には、カード決済の清算可能時間を当日および週末・祝日まで広げる計画を発表。CircleのUSDC、PaxosのPYUSD・USDG・USDP、RippleのRLUSD、SoFiのSoFiUSDを活用し、ステーブルコイン清算を拡大する方針も明らかにしていた。
今回の取り組みは、Mastercardがステーブルコインを、規制対応と検証の仕組みを備えた決済ネットワークの構成要素として組み込もうとしていることを示すものだ。取引参加者が保証情報を承認や規制対応、リスク管理のプロセスに反映できれば、国際的なステーブルコイン決済で繰り返し発生する確認作業に伴う遅延やコストの削減につながる可能性がある。
今後の焦点は、Crypto Credentialが実際の決済参加者による承認・検証プロセスにどこまで適用されるかにある。新たなガバナンス上の確認情報が、Mastercardのステーブルコイン清算拡大戦略とどう結び付くかも注目される。