VisaはZerohashと連携し、資金移動サービス「Visa Direct」におけるステーブルコインの事前チャージと支払い機能を拡充した。一定の要件を満たす顧客は、ステーブルコインをあらかじめチャージした上で越境決済に利用できる。銀行営業時間の制約を受けにくくなり、受取人がステーブルコインで直接受け取ることも可能になる。
ブロックチェーンメディアのDecryptoが5日(現地時間)に報じた。対象となるVisa Directの顧客は、ステーブルコイン建ての残高を事前に用意し、それを越境決済に充てられるようになった。
この機能追加により、企業は銀行営業時間に左右されにくく、資金をより機動的に運用できる。受取人も、現地通貨ではなくステーブルコインで直接受け取れる。
Zerohashによると、この機能は同社のインフラを通じて提供され、Visa Directネットワーク内で利用できる。創業者兼CEOのエドワード・ウッドフォード氏は「ステーブルコインのユースケースを広げることで、世界的な導入のペースは一段と加速する」とコメントした。
今回の取り組みは、Visaが進めるステーブルコイン事業拡大の一環といえる。Visaは1月、BVNKとともに、Visa Directでステーブルコインの事前チャージと支払いに関する試験サービスを開始していた。
7月には、銀行やフィンテック企業がステーブルコインを発行・保有・移転し、既存の資金管理・決済システムと連携できるよう支援する「Visa Stablecoin Platform」も発表した。
Visaは今回、Zerohashを通じて実運用の決済インフラとの接続をさらに広げた。グローバル製品統括のマーク・ネルソン氏は「ステーブルコインは、越境取引における資金移動をより迅速かつ柔軟にする機会を生み出している」とした上で、「Zerohashとの協業は、顧客がすでに利用している金融システムとの整合性を保ちながら、信頼性の高い形で機能を提供する後押しになる」と述べた。
Zerohashは2017年設立の暗号資産インフラ企業。金融機関向けインフラを提供しており、3月には保管・決済事業の拡大に向け、ナショナル・トラスト・バンクの認可を申請した。
7月には、Morgan StanleyのE*TRADEでビットコイン、イーサリアム、ソラナの取引提供開始も支援した。
Visaはステーブルコインを実証段階にとどめず、既存のグローバル資金移動ネットワークに組み込む方向を鮮明にしている。今回の対応は、銀行中心の運用時間という制約を和らげ、企業顧客の越境決済手段を広げる施策と位置付けられる。
今後は、Visa Directのステーブルコイン決済機能が、どの顧客層や地域へ広がるかが焦点となりそうだ。