イーサリアム(ETH) 写真=Pixabay

BlackRockが運用する現物イーサリアムETF「iShares Ethereum Trust(ETHA)」で、1対3の株式併合が実施される。投資家の保有価値は変わらないまま1口当たり価格を引き上げ、売買スプレッドの縮小を通じて取引効率の改善を図る。

5日付のCryptoSlateによると、米証券取引委員会(SEC)向けの開示資料で、ETHAの運用会社は7月31日に1対3の株式併合を承認した。10月5日時点の保有分について3株を1株に併合し、10月6日にNasdaqで併合後の取引を始める。

株式併合は、発行株式数を減らす一方で1株当たりの価格を引き上げる手法だ。保有株数は減るが、投資家の経済的価値は変わらない。例えばETH価格が変わらない前提なら、併合前に300株を保有していた投資家は併合後に100株となるが、保有資産の総額は同じだ。価格調整そのものが損失を埋めるわけではない。

背景には、年初来の下落でETHAの1株価格が低下していることがある。ETHAは年初来で37%超下落し、1株当たり約14.15ドル(約2120円)まで下げた。同期間にイーサリアムも、年初の3200ドル超から足元では約1900ドルまで下落している。

ETHAは純資産約54億ドル(約8100億円)、累計純流入額110億ドル(約1兆6500億円)超を抱える最大規模の現物イーサリアムETFだが、投資口価格は競合商品を下回っている。直近の価格は約14.15ドルで、GrayscaleのイーサリアムETF(約18ドル)、Morgan StanleyのMSSE(約20ドル)、VanEckのETHV(約27ドル)より低い水準にある。

併合後のETHAの価格は約42.45ドル(約6360円)となり、発行株式数は約3億8400万株から約1億2800万株に減少する見通しだ。BlackRockは今回の決定について詳細な説明をしていないが、目論見書には、二次市場での取引価格が適正レンジから外れたと判断した場合に株式併合を実施できる権限が明記されている。

市場では、今回の見直しが取引コストの低下につながるかに注目が集まっている。Bloomberg IntelligenceのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、ETHAの現在の売買スプレッドは約7bp(1bp=0.01%ポイント)だが、株価が42ドル前後に上昇すれば約2bpまで縮小する可能性があるとみる。同氏は「ETF運用会社が、ごく小さい約定コストまで改善余地として捉えていることを示す事例だ」と評価した。

バルチュナス氏はあわせて、ETFの取引コストと個人投資家が暗号資産を直接購入する場合のコストも比較した。それによると、ハードウェアウォレットのLedgerでドルをビットコインに交換した場合のコストは最低でも約150bp、Coinbaseの簡易購入サービスでも約140bpだった。これを基準にすると、Coinbaseの購入コストは、株式併合後に想定されるETHAの売買スプレッドのおよそ70倍に当たる。直接取引コストを40bpと仮定しても、ETHAの想定スプレッドの約20倍になるという。

もっとも、ETFと暗号資産の直接保有では用途が異なる。ETFは証券口座を通じてイーサリアム価格に投資する金融商品で、年率の運用報酬がかかる。一方、直接購入したイーサリアムは個人ウォレットに出庫したり、オンチェーンサービスで利用したりできる。取引手数料も、利用する取引所や決済手段、取引規模によって変動する。

こうした違いを踏まえても、市場ではETHAの株式併合によって取引コスト面での競争力が一段と高まるとの見方が出ている。最大規模の現物イーサリアムETFが価格構造の見直しに踏み切ることで、投資家の売買効率を高める狙いがあるとの受け止めが広がっている。

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