Googleは、Chrome内の操作を代行するAIエージェント「Gemini Spark」を公開した。価格比較や予約、フォーム入力などのWeb作業を自動で進める機能で、決済や重要な情報入力の場面ではユーザーの承認を求める仕組みを採る。
米TechRadarが8月5日付で報じた。Gemini SparkはChromeと連携し、ユーザーに代わって複数のWebサイトを巡回しながら、価格比較や予約、各種入力作業をバックグラウンドで実行できるという。
従来のGeminiが情報検索や回答生成を主な用途としていたのに対し、Gemini Sparkはブラウザを直接操作する点が特徴だ。ユーザーはChrome上部の「Ask Gemini」パネルから作業を指示する。
Gemini Sparkはまず作業計画を提示し、ブラウザへの接続権限を求める。承認後は複数のページを横断しながら処理を進め、作業開始後はChromeの画面を閉じてもバックグラウンドで処理を続けられるように設計されている。
利用には一定の条件がある。最新版のChromeを導入したWindows 11またはmacOS環境に加え、個人のGoogleアカウントが必要だ。
さらに、Google AI ProまたはGoogle AI Ultraへの加入が前提となる。加えて、Chromeのセーフブラウジングを標準保護または強化保護に設定し、ChromeのAI設定から「Let Gemini browse for you」を有効にする必要がある。
Gemini Sparkの中心機能は、定型的なWeb操作の自動化にある。例えば「65インチTVをAmazon、Best Buy、Costco、Walmartで比較し、割引コードも適用した最安値を探してほしい」と指示すると、複数のECサイトを巡回して価格やプロモーションを比較する。
そのうえで、商品をカートに入れ、決済直前の段階まで処理を進めることができる。
ただし、実際の決済を自動で完了させることはない。金銭が関わる段階では必ずユーザーの承認を求め、処理を停止する。
予約関連の作業にも対応する。大人2人、子ども2人の家族向け外出プランを依頼すると、営業時間や移動動線を踏まえて日程を組み、レストラン予約や博物館の入場券購入も最終承認の直前まで進めるという。
書類関連の作業も可能だ。図書館の会員証申請のようなケースでは、保存済みの住所や連絡先を使って申請フォームを自動入力する一方、最終的な送信操作はユーザーが行う仕組みとした。Googleは、特にGoogleアカウント情報を活用する書類作業で強みを発揮できるとみている。
Googleは、こうした承認プロセスを通じて、自動化と安全性の両立を図る考えだ。購入手続きや機微な個人情報の入力などでは、AIが独断で処理を完了せず、必ずユーザー確認を挟む。
TechRadarはこの方式について、「有用な自動化と常識的な安全装置の間のバランス」を示すものだと評価した。
業界では、Gemini SparkをGoogleのAI戦略における転換点とみる見方もある。従来の生成AIが質問への回答や利用方法の提示に重点を置いていたのに対し、Gemini Sparkはブラウザを直接操作して作業を進める、いわゆる「Agentic AI」へ踏み込んだ機能だという指摘だ。
とりわけ、ChromeにAIエージェントを直接組み込むことで、検索、買い物、予約、文書作成といったブラウザ上の日常作業をAI中心に再編しようとするGoogleの戦略が、より鮮明になったとの見方もある。
もっとも、現時点では最新OSと最新版Chrome、有料AIサブスクリプション、セキュリティ設定など複数の条件を満たす必要があり、利用対象は当面限られそうだ。
それでもGemini Sparkは、Webブラウザが単なるインターネット接続の窓口ではなく、実務を担うAIプラットフォームへ進化しつつあることを示す事例として注目を集めている。