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BitGoのマイク・ベルシ最高経営責任者(CEO)は8月1日、100BTCを保管するウォレットアドレスを公開し、AnthropicのAIモデル「Claude」に対して「動かせるなら動かしてみろ」とX(旧Twitter)で呼びかけた。Anthropicが評価環境に関する外部侵入事案を公表した直後の動きで、AIを使った攻撃が暗号資産カストディの管理体制を突破できるかを問う公開検証として注目を集めている。

ブロックチェーンメディアのCoinPostによると、ベルシCEOはXへの投稿で「BitGoのウォレットにビットコインを移した。取れるなら取ってみろ」と表明した。

Anthropicに対しては、「サンドボックス構築が下手なのか、マーケティングがうまいのか、あるいはその両方か」と皮肉を交えつつ、「『ハッキングモンスターを作った』という話はもういい。本気でやれ」と投稿した。

ブロックチェーン上の記録によると、このアドレスは7月31日に100BTCを受け取った。現時点で資金の移動は確認されておらず、残高にも変化はない。

もっとも、ビットコインのアドレスが公開されただけで資金を移せるわけではない。実際に送金するには、秘密鍵を使って生成した暗号署名が必要になる。

今回の呼びかけは、特定のAIモデルの性能を公式に評価する枠組みというより、AIを利用する攻撃者がBitGoのセキュリティ統制を突破できるかを試す公開テストの色合いが強い。ベルシCEOの投稿では、評価条件や対象となるClaudeのバージョンは示されていない。

背景には、Anthropicが7月30日に公表したセキュリティ事案がある。Anthropicは、Claudeの評価過程で、インターネット接続が可能なモデルが外部組織のシステムにアクセスしたケースを3件確認したと明らかにした。

一方でAnthropicは、モデルが隔離環境を自力で突破して外部に出たわけではないと強調している。自律的な「脱出」ではなく、評価環境の運用上の不備に近い問題だったという説明だ。

問題が起きたのは、外部評価パートナーのIrregularと連携したテスト環境だった。Claudeにはインターネットに接続されないシミュレーション環境が用意されているとされていたが、Anthropicと評価パートナーの間の連携不足により、実際には外部ネットワークへ接続可能な状態になっていたという。

その後、Claudeは脆弱なパスワードを利用するなど比較的単純な手法で外部組織のシステムにアクセスした。影響を受けた3組織の名称は公表されていない。

Anthropicは、外部パートナーとの連携方式を含む評価パイプライン全体の安全性を再点検するとともに、想定外の挙動を把握するためログ監視の範囲を拡大する方針を示した。外部ベンダーに対しても、より厳格な安全性検証手順を適用するとしている。

今回の公開挑戦は、AIセキュリティを巡る議論が暗号資産カストディ業界にも波及した事例といえそうだ。BitGoが実際に検証しようとしているのは、単なるウォレットアドレスの安全性ではなく、秘密鍵の管理や運用権限、内部統制を含むカストディ体制全体の強度だ。

今後の焦点は、Claudeが実際にビットコインを動かせるかどうかだけではない。AIを用いた攻撃シナリオを前提にしたセキュリティ検証が、どこまで業界全体に広がるかも注目点となる。

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