Strategyのマイケル・セイラー会長は4日(現地時間)、個人で保有するビットコインについて「一度も売却していない」と改めて強調した。一方で、同氏が率いるStrategyは資本管理の一環としてビットコインを売却できるとしており、市場では発言との整合性を巡る論争が再び広がっている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、今回の説明は、Strategyが導入した現金化プログラムと、それに基づく実際の売却を受けて強まった議論を意識したものだ。
セイラー氏はX(旧Twitter)への投稿で、個人投資家としての立場と上場企業の経営判断は区別すべきだと説明した。「ビットコインを絶対に売るなと言ったのは、個人投資家としての発言だ」とした上で、「自分のビットコインは1サトシたりとも売ったことがない」と述べた。
こうした発言の背景には、Strategyの最近の方針転換がある。同社は6月、取締役会の承認を経てビットコイン現金化プログラムを導入した。
このプログラムにより、同社はドル建て準備金の積み増しや優先株の配当、利払い資金の確保に向け、必要に応じてBTCを売却できるようになった。
実際、Strategyは先週、1638BTCを売却し、1億473万ドルを調達した。さらに、普通株の売却でも2億9060万ドルを追加で確保した。
これにより、同社のビットコイン保有量は84万2138BTCに減少した。一方、ドル準備金は2億5000万ドル増え、総額40億ドルとなった。
セイラー氏は、会社としての売却可能性は自身の個人投資の原則と矛盾しないと強調した。「Strategyは上場企業であり、私個人のウォレットではない」と述べ、「当社は2020年以降、資本管理のためにBTCを購入または売却し得ることを開示してきた。ビットコインに対する確信は変わらない」と説明した。
もっとも、市場では、セイラー氏が長年訴えてきた「ビットコインを売るな」というメッセージと、Strategyによる実際の売却との間に乖離があるとの見方が出ている。足元では暗号資産市場で売り圧力が続いており、こうした発信の整合性を疑問視する声も強まっている。
ビットコイン懐疑論者として知られるピーター・シフ氏も、セイラー氏の説明に反論した。Xへの返信で、一部は認めつつも、これまで市場に与えてきた印象とは異なると指摘した。
シフ氏は「その通りだ」とした上で、「あなたは市場にどのような印象を与えているかを理解しながら、あえて明確にしてこなかった。意図的な欺瞞だったのか、あるいは『Strategyは決して売らない』という意味で発言していて、いまは自己弁護のためにうそをついているのか、そのどちらかだ。いずれにせよ良くない」と批判した。
今回の応酬の焦点は、セイラー氏個人の投資原則と、Strategyの財務運営方針が同一視されていたのかどうかにある。Strategyは企業としてBTCを流動化し、ドル建て準備金を積み増すことで資金需要に対応している。
一方、セイラー氏は個人保有分については従来の立場を維持していると主張する。今後、Strategyが追加のBTC売却に踏み切るかどうかと、同氏の対外メッセージとのずれが引き続き市場の論点となりそうだ。