SpaceXは4日(現地時間)、2026年4〜6月期の売上高が78億ドル(約1兆1700億円)となり、前年同期比92%増だったと明らかにした。Starlink衛星インターネット事業の拡大に加え、AnthropicやGoogle向けの計算資源提供が増収を押し上げた。ビットコイン保有は1万8712BTCで、前四半期から変わらなかった。
海外メディアのTechCrunchなどによると、同社の四半期売上高は2025年4〜6月期の40億ドル(約6000億円)から大きく伸びた。内訳では、AI事業部門の追加売上が約20億ドル(約3000億円)となり、Starlinkの売上も17億ドル(約2550億円)増加した。
一方、純損失は5億4100万ドル(約812億円)。前年同期の10億ドル(約1500億円)から赤字幅は大きく縮小した。
今回の決算は、SpaceXが上場後初めて公表した四半期業績となる。同社は過去最大規模の新規株式公開(IPO)で850億ドル超(約12兆7500億円)を調達し、その際の企業価値は1兆7500億ドル(約262兆5000億円)と評価された。その後は社債発行も終え、手元資金は1000億ドル(約15兆円)に達したという。
市場がとくに注目したのは、AIインフラ事業の存在感が増している点だ。SpaceXはIPOを控えた数週間の間に、AnthropicとGoogleとの計算資源の賃貸契約を相次いで発表した。ロケットや衛星通信が中心だった事業構成に、データセンター基盤の収益モデルが加わりつつあることを示した格好だ。
最高財務責任者(CFO)のブレット・ジョンセン氏は4日の決算説明会で、新たなホスティング契約が高い収益性に寄与したと説明した。遊休計算資源を収益化したことが、追加売上の拡大につながったとしている。
SpaceXのAI事業部門は、もともとイーロン・マスク氏のスタートアップxAIだったが、その後SpaceXに統合された。会社側は、OpenAIやAnthropicなど先行する研究機関に追いつき、顧客獲得を狙ったものの、十分な成果を上げられなかったとしている。こうした不振は、xAIがたびたび論争に巻き込まれた時期と重なった。
代表例としては、Grokチャットボットを巡る不適切な応答や、児童の性的搾取物の生成事例が挙げられた。
この過程でSpaceXは、米テネシー州メンフィス周辺に構築していたデータセンターの活用方針も見直した。もともとはxAIのモデル学習向けに建設した施設だったが、その相当部分をAnthropicやGoogleなど外部顧客向けに貸し出す方向へ転換した。
自社AIサービスの拡大よりも、保有する計算資源を外部需要につなぐ戦略で売上を押し上げた形だ。
決算発表では、SpaceXがロケット・衛星通信企業であると同時に、ビットコイン保有企業でもあることが改めて確認された。同社のビットコイン保有は1万8712BTCで変動はなく、従来方針を維持したとみられる。
マスク氏が率いる別の企業Teslaも、直近の決算でビットコインを1万1509BTC保有し続けていると明らかにした。マスク氏が率いる2社はいずれも、ビットコインを資産として保有する戦略を継続していることになる。
株価は、業績改善にもかかわらず軟調だった。SpaceXの時価総額は上場直後の取引序盤に一時Amazonを上回り、Microsoftと同水準まで上昇したが、その後は下落に転じた。
株価は公募価格の135ドルを下回り、4日の通常取引は125ドルをやや上回る水準で終了。時間外取引では一時、さらに8%下落した。
市場の次の焦点は、SpaceXがStarlinkの成長と外部向け計算資源の賃貸需要をどこまで維持できるかに移っている。とくにAI部門では、自社サービスの競争力回復よりも、当面はデータセンター資産の収益化が業績下支えの中心になる可能性が高まっている。